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グリーグ 抒情小曲集 舘野泉(P) ~ピアノが奏でる何とも可憐な楽曲たち

グリーグ 抒情小曲集
舘野泉(P)

グリーグとお題をだせば誰もが真っ先に「ペールギュント」と答える。グリーグもペールギュントも知らない人ですら曲を流せば「あの曲か」と腑に落ちる。今風にいえば大ヒット作の作者である。だからグリーグはどこへ行っても「アレを演ってくれ」とペールギュントを指揮演奏しなければならなかったという。

アレをやれば必ずお客さんは喜ぶのだが、演る本人からすると「そろそろ他のことがしたい、もっと他の作曲がしたい」というのが本音だったのだろう。どこへ行っても「ゲッツ!」とやってくれとせがまれる芸人さんの気持のように、心の底には諦めの気持ちとうれしい気持ちがもんもんとしていたのだろうか。

本作はそんなグリーグが抱き続けていた作曲への思いが、なんとも可憐な楽曲として形になったピアノ小品集である。自らの祖国である北欧のノルウェイにて小さなアトリエにてピアノに向かい作曲したのだろう。ピアノ小品集ということで一つ一つの曲はとても短いのだが、短い中でも曲中にはしっかり春夏秋冬・起承転結・序破急などの場面展開もあり、そこには素朴でピュアな美しさにあふれたメロディーたちがたくさん詰まっているのだ。

演奏は日本を代表するピアニスト舘野泉。フィンランドにほれ込みフィンランドへ住み込んだという彼は、フィンランドの生んだ偉大なる作曲家シベリウスやカスキなどと同様にグリーグも舘野氏独特のまっすぐでなめらかな抑揚の効いた深遠なるピアノタッチにて表現をする。

楽曲がシンプルだからこそ抜群に美しい彼の音色が生きてくるのである。自分に素直になるために静かな夜に一人で聴きたい音楽である。

グリーグ:抒情小曲集

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Together - 弦の新世紀 ナージャ(Vln),ニューセンチュリー室内管弦楽団 ~こんなにグルーブする弦楽ものはそうそうない

Together - 弦の新世紀
ナージャ(Vln),ニューセンチュリー室内管弦楽団

本作は偶然ラジオをつけたときにかかっていたものである。流れていたものはクラリス・アサドの「室内オーケストラのための組曲≪印象≫」であった。弦楽ものであまり感動することはなかったのだが、このときばかりはものすごい熱演に気圧されてすかさずAmazonをチェック。「在庫あり」とのことだったので購入に関しては最後まで内容を聴いてから判断することにした。案の定Amazonは「残り1枚」となり、すぐさま購入を決定。

このユニットの代表であるバイオリニストのナージャ・サレルノ・ソネンバーグは稀代のソリスト。詳しいことは知らないのだが数々の名作を放っているようだ。本作はそんなナージャが理想とするハイテク集団のニューセンチュリー室内管弦楽団を従え録音した「デビュー作」だという。楽曲のセレクションもピアソラ、バルトーク、ガーシュウィン、アサドなど。ナージャのダイナミックな編曲もツボを得ている。こんなにグルーブする弦楽ものはそうそうない。

録音もナージャの超絶技巧を細部にわたり捉えており非常に素晴らしい。他の個々の楽器も程よく広がりのある空間をつくるような録りかたで、曇ることなく立体的なアンサンブルワークを楽しめる。次回作も楽しみである。


Together - 弦の新世紀

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Beyond the Blue Horizon ジョージ・ベンソン ~ベンソンのギタリストとしての絶頂を捉えた1枚

Beyond the Blue Horizon
ジョージ・ベンソン


はっきりいって本作のベンソンは凄い。数ある彼の作品の中でもギタリストとしてのジョージ・ベンソンの絶頂を捉えた1枚といっても過言ではない。1曲目の「So What」からアクセル全開だ。ご存知マイルス・デイビス作の「So What」はモーダルジャズの有名曲。

乱暴な解説になるのだがモーダルジャズとは和声進行とメロディーという従来の楽曲からメロディーをつくるスケール(旋律)の「音と音の距離感」や旋律の下降上昇にともなう「音の距離感によって解決する解決しない」というおのおののスケールの風合いを和声進行のかわりに取り入れた楽曲の事を指す。

複雑に発展し手詰まりになったビバップに対し嫌気がさしていたマイルス・デイビスはクラシック畑出身のピアニストであるビル・エバンスからドビュッシーやラヴェルやフォーレ、リヒャルト・シュトラウス…などなど様々なクラシック音楽のエッセンスを吸収し「So What」のようなモードジャズの楽曲を作ったといわれている。

ソロイストや伴奏者はコード進行の制約がないため、スケールに付随するコードを拡張したり展開したりと様々なアイデアを試すことができる。もうすこし噛み砕いていうと「和声進行→メロディー」であったのを「メロディー→和声進行」とし、システマチックになりすぎた楽曲を一旦解体・リバースエンジニアリングした手法とでもいうのだろうか。

和声的な制約がないのでベンソンのイマジネーションが大爆発している。1曲目の「So What」はもちろん他の楽曲でも大爆発である。彼は「口で歌えないフレーズは弾かない」ことで有名なのだが、逆をいうと歌えるフレーズは全てプレイとしてあふれ出てくるのである。本作ではイマジネーションの泉が尽きることなく湧き出て音になるのである。

CTIレーベルの代名詞といわれる名プロデューサーのクリード・テイラーの手腕もありサポートメンバーもロン・カーター(B)やジャック・デジョネット(Dr)などその当時の旬のミュージシャンが集結。内容も当然充実しているのだが残念なのは意味不明なフェードアウトだけである。

Beyond the Blue Horizon

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Beethoven Piano Sonatas Nos. 30-32 グレン・グールド ~ベートーベンを全身全霊をかけて弾くグールド

Beethoven Piano Sonatas Nos. 30-32
グレン・グールド

わんわんわんにとってベートーベンは落書きの対象でしかなかった。不本意なヒゲを書き込んだり上半身の肖像画の下半身を富永一郎タッチのスッポンポンにしたりと、それこそ本人が見たら激怒では収まらないレベルの「悪行」は両手両足を駆使してもあまるほどである。だが、本作のグールドが演奏するベートーベンを聴くと、ベートーベンの音楽に対する執念というものをリスペクトせざるを得ないと思うのである。

本作を聴くとグールドはどちらかというとクラシックミュージシャンというよりジャズミュージシャンではないかと思ってしまう。ご存知クラシックで最重要視されるのは作曲者の意図である。テンポの設定や場面展開のストーリーなど全ての演奏設計を、音として自分の作品を残すことができなかった時代に自分の作品を世間に広めようとするには譜面に書くしかなかったのである。電気のなかった時代の音楽はなおさらそうである。

だからクラシックのミュージシャンは個性と同様に譜面に忠実であるかどうかというのも重要視され要求されるのである。しかし本作は「譜面を演奏して一丁あがり」というレベルでは全くない。むしろグールドは楽譜を無視するのである。さすがに音符を勝手に創作することはしないのだが彼はテンポや楽曲の表情、音色の強弱はグールドの信じるがままに全身全霊をかけてベートーベンを弾く。

その姿はジャケット写真にあるように非常に神懸かっている。ベートーベンの残した作品に対して自分の持つテクニックや意識の全てを捧げ、本気で音楽にぶつかってゆく姿勢が本当に美しい。良ジャケに駄盤なしの手本のような作品である。聴いてるこちらもつられて全身全霊で耳を傾け、グールドの音楽に対する真摯な姿勢に思わず涙がでる。不思議と気持ちが高まるのだが呼吸が穏やかになるのだ。本作はおそらく一生聴き続ける1枚となるであろう。

Beethoven Piano Sonatas Nos. 30-32

■富永一朗(チンコロじいさん)の快老人生
ああ懐かしい「お笑いマンガ道場」にて鈴木先生と地味なバトルを繰り返していたあのころを思い出す。富永先生は三重県亀山市出身。東名阪亀山SAには先生の作品が飾られている。わんわんわんの世代を垣間見ることができる。

富永一朗(チンコロじいさん)の快老人生

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JAMES BROWN'S FUNKY PEOPLE ジェームス・ブラウン ~JBサウンドのエキスそのもの

JAMES BROWN'S FUNKY PEOPLE
ジェームス・ブラウン

ご存知ファンクの帝王ジェームス・ブラウンことJB。本作はアマゾンのリンクをたどるとジェームス・ブラウン名義の作品となっているが、JBが主役というよりもJBサウンドにフォーカスがあたっているのでジェームス・ブラウンのバックバンド「JB'S(ジェイビース)」の作品、作品というよりベスト盤ではないかと思う。

あのいつものタイトなグルーブと流れるようなホーン。知らず知らずのうちに体が動いてしまう。JBサウンドの良いとこ取りで内容はまさにファンクのエキスそのもの。ファンクが好きならば聴いてるだけでよだれが出てきてとまらないレベルだ。

参謀メイシオ・パーカー(As・Fl)をはじめ、ジャジーなフレーズのフレッド・ウエズリー(Tb)、「ゲロッパ」というJBに対し「ゲロンナップ!」という合いの手で有名なボビー・バード(Org・Pec)、渋い音色と鬼グルーブのドラマーであるジョン・ジャボ・スタークス…。などなどJBグルーブを支えた面々がそろいもそろっているので、どんなにユルいテンポであってもグルーブは決してユルくならずにスイングしまくっている。

ヒップホップなどサンプリング音源を中心としたデジタル世代になってもJBサウンドの影響を受けていないものはないと言い切れる。JBなき現在であってもJBサウンドの遺伝子は時空を超えて受け継がれてゆく程強力で絶対的である。ダンスミュージック目的であっても学術目的であっても鑑賞目的であってもファンク好きならば本作1枚でご飯が3杯食べられること間違いなしだ。

JAMES BROWN'S FUNKY PEOPLE

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アストラル・ウイークス ヴァン・モリソン ~不思議な夢世界が広がる異色の名作

アストラル・ウイークス
ヴァン・モリソン

本作は「孤高のシンガーソングライター」ヴァン・モリソンが1968年に発表した「奇跡の一枚」といわれる作品。彼は既に10代のころよりギター、サックス、ハーモニカなど数々の楽器をマスターして地元ローカルバンドの一員としてダンスホールにて演奏していたという。

彼が幼少のころ親しんでいたジャズやブルースなどのアメリカ音楽を振り返る意味で作った作品といわれており、サポートメンバーもMJQのドラマーであるコニー・ケイやベースマエストロのリチャード・デイビスなど豪華な面々が顔をそろえる。アコースティック楽器を主体とした「アンプラグト」な一枚で、数ある彼のキャリアの中でも異色の1枚といわれている。

どこか自由で気ままで懐かしいサウンドに身を預けて自分を育ててくれた音楽に改めて寄り添うような不思議な夢世界が広がっている。ラジオから流れる音源と一緒に演奏して歌うようなサウンドで、微妙にギターのチューニングが狂っていたりなど完成度を追求していないスタンスなのである。ここでの彼のパフォーマンスはファンから賛否両論あるものの、しかしそこにはしっかりヴァン・モリソンの世界観が築かれているのである。

ちなみに当時を振り返ったリチャード・デイビスは彼があまりにも物静かな人物なのでスタジオにいることに全く気がつかなかったという。

アストラル・ウィークス

■Moondance
ヴァン・モリソンの作品では圧倒的にこちらがメジャー。聴けば必ず素直になる名曲「クレイジー・ラブ」やタイトル曲「ムーンダンス」など捨て曲なしの1枚。楽曲の完成度は極めて高く現在でも語り継がれるロック・ポップスの名盤である。

Moondance: Expanded Remastered Edition

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ページ2 ジョージ大塚トリオ ~日本のジャズ史に名を刻む名盤

ページ2
ジョージ大塚トリオ


本作はツウ好みのドラマーであるジョージ大塚がジャズピアノの名手である市川秀男とベースの寺川正興とともに1968年に録音したピアノトリオ作品。同様のタイトルで「ページ1」と「ページ3」があり「ページシリーズ」として親しまれているのだが、本作が日本ジャズ史において名盤中の名盤として名盤紹介の類を紐解くとかなりの確立で掲載されている名高い1枚だ。

収録曲も人気の高いエイトビートを基調としたジャズロックの「Hot Cha」や、ジョージ大塚のドラムが炸裂するスリル満点な解釈の「On Green Dolphin Street」、市川秀男のピアノをフューチャーした「I Fall in Love Too Easily」など聴きどころ満載である。どの曲を聴いてもとにかくドラムがめちゃめちゃウマイ。そしてめちゃめちゃ音楽的反射神経が高い。

即興的にすぐさま新しいアイデアをカタチにできる瞬発力と耳のよさや、両手両足を駆使した確実なフォーウエイコーディネーション、数学的な譜割解釈などトニー・ウイリアムスから強い影響を受けていることがよくわかる。そのトニー・ウイリアムスばりの高度なテクニックと斬新なドラムスタイルは、現在聴いても非常にカラフルで繊細でダイナミックだ。その実力はフィル・ウッズが来日した際にジャパニーズ・リズム・マシーンの一員としても活躍するほどである。

富樫雅彦(つのだ☆ひろの師匠)と同様に日本を代表するトップドラマーでよき教育者でもある。数々のスタジオミュージシャンの師匠筋でもあり「手数王」菅沼孝三も彼のお弟子さんなのである。

ページ2

■フィル・ウッズ&ザ・ジャパニーズ・リズム・マシーン
フィル・ウッズが来日した際に行ったコンサートの様子。なかなかぶっ飛んだ内容で再発売が待ち遠しい1枚だ。

フィル・ウッズ&ザ・ジャパニーズ・リズム・マシーン


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鐘の谷~ラヴェル、武満、メシアン:ピアノ作品集 児玉桃 ~極楽浄土のBGMはこれに決定

鐘の谷~ラヴェル、武満、メシアン:ピアノ作品集
児玉桃


当ブログの愛読者さまで「ろっきーのクラシック雑記帳」を運営されているrocky dvorakさんが本作のことを記事で取り上げていたので購入。組曲「鏡」の第3曲 海原の小舟がすばらしいとのことでラヴェル好きとしては黙って見過ごすわけにはゆかない内容だったからである。

児玉桃はフランス在住の日本人ピアニストで大阪府生まれ。1歳のときに家族とともにフランスへ渡る。10代のころより数々のピアノコンクールにて受賞をし、着実に実績を積み重ねて現在に至る。フランスの現代曲作家であるメシアン弾きの名手としても知られている。

CDを手に入れて再生ボタンを押したところ、思わず「こ、これは…、やられてもうた…」と声にならない声が出てしまったのである。彼女が弾くラヴェルはとにかく美しい。静かなるピアニッシモ、躍動するピアニッシモ、小さく響くピアニッシモ、大きく響くピアニッシモ。とにかくピアニッシモ域での多彩な表現力の幅に驚かされる。

ペダルの使用を最小限に抑えた極めて純度の高い音色は、クリスタルな響きのどこかにピアノが木製品であると改めて気づかされるのである。自分がピアニストだったら気が気でないほどの表現力だ。

特に組曲「鏡」の第3曲 海原の小舟は聴くたびに毎回涙があふれてくるのだ。本当に息をするのももったいないほどのクオリティーである。自分が極楽に行けるのならば極楽浄土のBGMはこれに決定である。

キース・ジャレットやラルフ・タウナーなどが所属するドイツ名門ECMレーベルのクラシック部門よりリリース。録音も非常にクリア。とってつけたようなホールの残響やマイキングのミスを補うようにかけたコンプレッサーなどの安っぽい音響処理は微塵も感じられない。さすがは名門ECMクオリティーである。

鐘の谷~ラヴェル、武満、メシアン:ピアノ作品集

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So Much Guitar ウェス・モンゴメリー ~想像しただけでそら恐ろしくなるほどの才能

So Much Guitar
ウェス・モンゴメリー


「ジャズギター=ウエス・モンゴメリー」というようにジャズギターの代名詞のように言われているウエス・モンゴメリー。ジャズギターに関わる人ならば彼の影響を受けていない人はいないと言い切ってしまっても大げさではない。かのジョージ・ベンソンもかなりのウエス・モンゴメリーフリークであるという。

ウエス・モンゴメリーといえば親指奏法であるが、その親指奏法が生まれたいきさつがとても面白い。彼がギターを練習していたところ隣の家から「うるせー!」と怒鳴り込まれたそうである。それ以来ウエスはピックを使わなくなり、よりソフトな音が出る親指の腹で練習するようになったという。そしてピックを使わずどんな超高速フレーズも親指のみで弾ききってしまうほど親指奏法を極めてしまったそうである。

本作は「So Much Guitar」というタイトルから想像ができるとおりウエスが弾きまくりの1枚。この弾きっぷりが実に爽快で問答無用である。流麗なシングルトーンやオクターブ奏法、そして全てのギタリストをひれ伏せさせるに値するコードワークソロ(メロディーにコードをつけて演奏)。コードワークソロはおそらく忙しく指板を指が駆け巡っているのだろうが、もはや「どうなってるの?」というレベル。ここまで弾きまくれるウエス本人も相当楽しかったのではないかと思う。超高速ナンバーの「Cotton Tail」がキラーチューンだ。

ギター1本で奏でられるバラッド「While We were young」も親指のさまざまな箇所を使い、ソフトな音色とタイトな音色を使い分ける。ギターが歌うのである。ギタリストならば「なんということだ!」と驚くこと請け合いである。

参加メンバーも豪華でピアノはハンク・ジョーンズ、グルーブ命のロン・カーター。奇妙な音使いのベースラインとトリッキーなリズムで傑出したグルーブにてアンサンブルをあおりまくるいわゆる。「電化」される前のロン・カーターなのでうまいことアンサンブルに溶け込んでいる。レイ・バレットのコンガも「アフロ汁」があふれ出んばかりの熱演だ。ドラムのレックス・ハンプリーもベースのロンと同様バンドがグルーブするのを非常に楽しんでいる様子だ。

改めて「親指のみでこれを演奏している」、「譜面が全く読めない」ということを考えると、ウエスは考えただけでそら恐ろしいくらい相当天然で天才だったのだろうと思える。


So Much Guitar


■Jazz Icons: Wes Montgomery Live in 65 [DVD]
動くウエス・モンゴメリーが見られる永久保存版。コレを見ればウエスが本当に親指のみをつかって演奏している様子がわかる。親指をピックがわりに器用にウネウネさせながら超高速フレーズを弾く様はまさに驚愕すべし光景だ。

そして譜面(コード譜・五線譜)が読めないのにここまでのレベルに達している勘のよさと耳のよさにもびっくりだ。完全に本能と演奏がリンクしているのである。楽曲の打ち合わせで譜面を使わず実演と口頭にて行わている様子を目の当たりにすると、われわれも読譜力は必要ないのではないかと錯覚をおこしてしまう。

しかしそれはウエスほどの耳と才能を持ち合わせた者のみ許されることであると現実に引き戻される。とにかく目からうろこの作品である。

Jazz Icons: Wes Montgomery Live in 65 [DVD] [Import]

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Our Shining Hour カウント・ベイシー ~冬になると聴きたくなる超大物との超ご機嫌な1枚

Our Shining Hour
カウント・ベイシー, サミー・デイビス・Jr


サミー・デイビス・Jrは1925年ニューヨーク生まれ。彼は歌手であり俳優でありタップダンスの名手であり銃トワリング(西部劇の拳銃をクルクルと回すやつ)の名手でありと非常に多彩で、正に米国ショウビジネス界エンターテイメントの申し子というべき人物。本作は彼がビッグバンド界の申し子であるカウント・ベイシーを共演した誠に贅沢な1枚である。

サミー・デイビス・Jrの迫力たっぷりなテナーボイスを分厚いブラスセクションの音の束、切れのよいリズムセクション、おいしいところでポロンとなるベイシーのピアノが猛烈なスイングで包み込む。ベイシーとサミー・デイビス・Jrが繰り出すピアノとタップダンスの掛け合いは、これぞエンターテイメントといわんばかりにサミー・デイビス・Jrが踊る姿が目に浮かび、豪華なディナーショウを見ているような高揚感がわきおこる。不思議と冬になると猛烈に聴きたくなる豪華な1枚だ。

アレンジを担当したのはクインシー・ジョーンズ。超大物のフランク・シナトラをフロントに迎えた「シナトラ・アット・ザ・サンズ」同様この人のアレンジはハズレがなく超ご機嫌だ。彼はベイシー楽団のトランペッター兼アレンジャーを経て、後にポップスのプロデューサとしてマイケル・ジャクソンの「スリラー」などビッグヒットを連発し米国音楽界にとって欠かすことのできない存在となる。

「本物のエンターテイメント」を感じさせるこんな豪華な内容の1枚であっても、現在は残念ながら流通在庫を丹念に探すしか入手方法はないようだ。

Our Shining Hour

■Sinatra at the Sands フランク・シナトラ
自分が経営するラスベガスのホテル「サンズ」でおこなったディナーショーのライブ録音。クインシー・ジョーンズのペンによるベイシー楽団の分厚いサウンドと「ザ・ボイス」の異名をとるシナトラのセクシーな歌声と気の聴いた司会で観客は空前絶後の盛り上がりである。
ちなみにハードロックバンドMr.Bigのベーシストであるビリー・シーンが子供のころから愛聴しているとっておきなお気に入りの1枚でもあるという。

Sinatra at the Sands

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ファイネスト・アワー メル・トーメ ~「The Christmas Song」の作者メル・トーメを知るための1枚。

ファイネスト・アワー
メル・トーメ


以前企画モノので「ファインエストアワー・シリーズ」というのがあった。フランク・シナトラ、アニタ・オデイやウッディー・ハーマン、フレッド・アステア、ベティ・カーター、ルイ・アームストロング、カーメン・マクレエなどなど、現在の米エンターテイメント・ポップスの礎を作ってきた人たちのベスト盤である。

本作は「ファインエストアワー・シリーズ」からのメル・トーメの1枚。デッカ、コーラル、ヴァーヴなど多岐にわたるレーベルよりビッグバンドからオーケストラなど、さまざまな時代から彼のキャリアを代表する楽曲の好テイクばかりが収められている。

アップテンポにおける切れのよいスキャットやパーフェクトなピッチや、バラッドなどのスローチューンでは彼の「ベルベットボイス」という異名をもつ声質を存分に楽しむことができる。彼が同業者(歌手)からもリスペクトされ続けているジャズ歌手であることが十分わかる1枚で、誰が選曲したのかはっきり覚えていないのだが、とにかく選曲がとりわけよいのである。

数ある優れた録音のなかでも至宝のテイクは「The Christmas Song」。クリスマスソングの中でも「美曲」として名高いこの曲はメル・トーメが作詞作曲したものである。彼の歌へピアノ伴奏とクラリネットが温かい音色のオブリガードを添えるライブ録音の一幕。楽曲のずば抜けた素晴らしさと、よく伸びるメル・トーメの「ベルベットボイス」これがなんとも温かい。今の時期でなくても何回でも聴き入ってしまう「鉄板の1曲」だ。

ほかにも有名なものからマニア必聴の珍しい録音も収録されているので、メル・トーメを手軽に理解する最適な1枚でもありマニア向けの1枚でもある。企画モノということでCDは流通在庫を探すしかない「出会ったとこ勝負の1枚」でもあるが、ありがたいことにAmazonでのMP3ダウンロードが可能である。

Mel Torme's Finest Hour

■メル・トーメ・スウイングズ・シューバート・アレイ
メル・トーメの1枚といえばまずこちらである。名盤紹介で必ず取り上げられている。

メル・トーメ・スウイングズ・シューバート・アレイ

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オブリガード・ブラジル ヨーヨー・マ ~本気で音楽を楽しむ姿が最高に楽しい1枚

オブリガード・ブラジル
ヨーヨー・マ


世界を股に掛け「音楽の幸せ」そのものを追求するスーパーチェリスト、ヨーヨー・マ。そのレパートリーは古典音楽から現代音楽~ポップスまで幅広いので、ジャンルを問わず非常に多くのミュージシャンとコラボレーションをしている。本作はヨーヨー・マがかつてより構想を練り上げていたブラジル音楽を収録したもの。ブラジルを代表するクラシックの作曲家ヴィラ・ロボスからボサノバ、サンバ、ショーロなどのブラジリアンポップスまで、選曲は幅広く彼らしい視点である。

ブラジルの至宝エグベルト・ジスモンチやパキート・デリベラなどをはじめブラジルや中南米トップクラスのミュージシャンをゲストに、本気で音楽を楽しんでいるヨーヨー・マが改めて音楽の楽しさを教えてくれる。高度な信頼関係に基づくジャンルを超えたハイレベルなこのコラボレーションはきっと彼のグローバルでフレンドリーな人柄があってこそのものであろう。

続編として同じメンバーにて行われたコンサートの様子を収めたライブアルバムもある。こちらは可能であればDVDつきの初回盤を手に入れていただきたい。共演者同士のアイコンタクトやともに演奏を楽しむ様子を映像にて見ることができ、これほどまでの濃い内容が楽譜を超えた友人関係に基づく信頼関係によって成り立っていることが手に取るようにわかるからだ。

オブリガード・ブラジル

■ブラジル・ライヴ!
こちらが続編のライブアルバム。クラシックファンからブラジル音楽ファンまでオススメである。

ブラジル・ライヴ!

■オブリガード・ブラジル~ライヴ・イン・コンサート(初回生産限定盤)(DVD付)
こちらが初回盤のDVD付きだ。収録の様子を見ることができるので輪をかけて楽しい1枚だ。限定品なので流通品のみの在庫となるので注意が必要だ。

オブリガード・ブラジル~ライヴ・イン・コンサート(初回生産限定盤)(DVD付)

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■熱情のギター マルセル・パウエル ~ブラジル音楽界のサラブレッドの炸裂する超絶ギター。
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