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鏡の中の鏡~ペルト作品集 ペルト ~研ぎ澄まされたシンプルな美しさ

鏡の中の鏡~ペルト作品集
ペルト


アルヴォ・ペルトは北欧とロシアにはさまれたバルト三国のひとつ、エストニアの現代音楽の作曲家である。1935年生(昭和10年)生まれで現在(2013年)は78歳だ。余談ではあるがこの年は渋谷にて忠犬ハチ公が息を引き取った年でもある。

タイトル曲である「鏡の中の鏡」はピアノと弦楽器1本のみの極めてシンプルな編成。本作にはバイオリン、ビオラ、チェロの3通りの演奏があり、それぞれの聴き比べもできる。ゆっくりとしたテンポでのピアノ学校のチャイムのような3つの音によるモチーフと、そーっと弦を擦るような弦楽器の数小節をまたぐ長い音符のモチーフ。同時に出ている音は片手で数えられるほどである。それは水晶でできた三角形のようにシンプルで美しい。こんなにシンプルでありながらあらゆる雑音をシャットアウトして耳に届くこの楽曲の魔力はどこからくるのだろうか。

暑くもなく寒くもなく、急いでいるわけでもなく止まるわけでもなく、何通りかの三角形の小さいシーケンスは積み重ねられてゆく。ただただ淡々とゆっくり時間が過ぎてゆき、どんな静寂よりも静かな空気が流れてゆく。小さなシーケンスを組上げてつくるその作曲手法は現代音楽家のスティーブ・ライヒが多用するミニマリスムにも通じるところがある。

個人的にはビオラバージョンがベストテイク。ピアノが奏でるシンプルなモチーフと、ゆっくりのびのびとビオラによって奏でられるもうひとつのモチーフに耳を傾けると、澄んだ音色のピアノとビオラがもつ低音域へ膨らんだ独特の太い音色や倍音の対比が非常に美しい。

クラシックには巨大な「展示物」のようなオーケストラ音楽から、このようなひっそりと楽しむことができる音楽まで本当に多種多様な音楽が存在し、クラシックという言葉で一括りにしてしまうのはもったいない。クラシックという言葉に古典という概念をあてがったままクラシック音楽へ接すると、言葉の落とし穴にまんまとはまってこういう優れた作品に出会うことはできない。つくづくクラシックという音楽の懐の深さに感銘を受ける今日このごろである。

鏡の中の鏡‾ペルト作品集(SACD)(Arvo Part:Spiegel im Spiegel)
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Anthology-Funkify Your Life ザ・ミーターズ ~まさに「一生モノ」ファンクの名盤

Anthology-Funkify Your Life
ザ・ミーターズ

伝説のニューオーリンズファンクバンド「ミーターズ」。彼らが後世に与えた影響はヒップホップのグルーブの組み立て方からレッチリのようなオルタナティブ系ロックバンドまでジャンルを超えて幅広く大きい。

数あるミーターズのベスト盤で「お得」なものが本作である。本作は2枚組みでミーターズのさまざまな時期から選りすぐられた重要な楽曲が収録されており、理屈抜きで身を任せるセカンド・ライン・ファンクのゆらぎが楽しめる、まさに「一生モノの名盤」である。

彼らの名刺代わりとなるほどの超有名曲「Cissy Strut」で始まる。ジガブー・ジョセフ・ モデリステのぐらぐらと揺らぎながらバシンバシンボコンボコンとがっちりバンドを転がしてゆくトリッキーなドラムとあの有名なリフ。独特のスイング感、きっちり分割されていないセカンドラインファンクの揺らぎ感覚がグルーブをどんどん前へ引っ張ってゆく。

手足をつかったパラディドルの応用パターンとメロディーアスな長い音短い音を組み合わせたハイハットの表情付け。シンコペーションを効かせたルーディメンタルなセカンドラインドラミングをドラムセットに応用したものだが、普通のドラミングに飽きたドラマーにとってこのグルーブはタワー・オブ・パワーのデビッド・ガルバルディ(Dr)と同様とてもよい研究材料になること請け合いだ。

ギターの役割もファンクでは非常に重要で、シャキッとしたところとテロンテロンしたゆるいところのある緩急ついたカッティングがファンクギターの醍醐味だ。ベースのチューニングがちょっとずれている(弦のテンションがユルユルに調整されたエレキベースを力いっぱい押弦しているのだろうか)曲もあるのでそこが気になるところだが、バンド全体で迫ってくるユルイのに緊張感あふれるグルーブは極上である。

Anthology-Funkify Your Life

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Blues for Two ズート・シムス ~名盤の中でも群を抜く「隠れ家ムード」

Blues for Two
ズート・シムス


本作はこれ以上ないだろうという「超リラックス」名盤である。「ズートの作品にハズレなし」という法則があるように本作は名盤にちがいないのだが、そのリラックス指数は群を抜いている。

このリラックスムードはどこから来るのかとズバリいうと「ズートの歌心」であるというのは間違いはない。ズートの吹くテナーとソプラノ(ズートはいわずと知れたソプラノサックスの名手)はその幅広い音色表現を駆使して見事にメロディーを歌い上げている。まるでベテランシンガーのようで、肉声による歌よりも歌に近いというのは大げさだろうか。

また、サックスとギターのみというこじんまりした楽器編成もまた本作の印象に関係するのではなだろうか。やはりこの「秘密の空間」というか「隠れ家」雰囲気は伴奏がギターでなければ出てこないのである。伴奏楽器がギターではなくピアノであると生で音量が出しぎてしまうためズートの繊細なサブトーンや「のむ音」がこれほどまでに活かされなかっただろう。繊細さを活かすにはギターという楽器の小ささも必要なのである。そこでズートがチョイスしたギタリストは旧知の仲でもあるジョー・パスである。

ご存知ジョー・パスはジャズギターの名手中の名手である。ギターをピアノのように弾くそのスタイルは特徴的で、イントロ部分を例にとってもメロディーとコード、ベースラインを器用に、しかもこれから曲が始まるろいう「ワクワク感」もあわせながらサラリと弾いてのけてしまう技量の持ち主。ギタリストならば彼の器用な演奏に驚くこと請け合いである。

彼がいればピアノもベースもドラムも不要ではないかと思ってしまうくらい研ぎ澄まされたギターテクニックの持ち主であるのだが、なぜかテクニックが前面に出てこない。それはジョー・パスもまたズートと同じくメロディーと音色を愛する同志であるからだ。

ズートの歌心とジョー・パスのテクニックを感じさせないテクニック、これぞ至高の「隠れ家的リラックス空間」の名盤である。

Blues for Two

■ソプラノ・サックス ズート・シムス
ズートのソプラノサックスが堪能できる名盤中の名盤。次の世紀へ語り継ぐべき遺産級の名盤である。しかし、こんな名盤が入手困難になっているとはゆゆしき事態だ。まだ入手していない人は速攻で入手すべし。

ソプラノ・サックス

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タピオラ幻景 -左手のためのピアノ作品集2~五本の指から放たれる宇宙

タピオラ幻景 -左手のためのピアノ作品集2
舘野泉(P)


ピアニストの舘野泉氏はちょっとクラシックをかじったことのある人ならば一度は耳にした事のある名前ではないだろうか。シベリウスをはじめ北欧の作曲家たちを中心とした取り組みはもちろんのこと、何よりも「左手のピアニスト」として有名である。

彼は2002年のとあるコンサート中に脳溢血にて倒れたという。脳内出血である。その日はとても調子がわるくなりながらもなんとか演目を弾き切り、お辞儀をして2~3歩あるいたところにてバタンと倒れ、そのまま病院へ担ぎ込まれたそうである。

それから一命を取り留めたものの彼の右半身は麻痺という後遺症が残り、かつてのように両手をつかってピアノを弾くことができなくなったのである。長年両手によって弾き込んできた膨大なレパートリーがあの日を境にして一瞬のうちに消え去ったわけである。だが舘野氏はこういう。「人が常識で考えるほど、左手の世界は不自由で狭いものではない」と。

彼の関心事は高音域と低音域の両方を一度に奏でることではなく、左手1本によって複雑な楽曲を演奏することでもない。自分の演奏によって「何を伝えられるかこそが大切なこと」である。もとからそこにフォーカスがあったため闘病中も悩み苦しみ切羽詰った感じはなかったという。

本作は復帰後の第二作目にあたる。舘野氏の友人に当たる作曲家の吉松隆、後期シベリウスの音楽世界を探求し「日本のシベリウス」とも呼ばれる彼が、左手1本だけで弾ける楽曲をと舘野氏のために作曲された楽曲「タピオラ幻景」が収録されている。

左手1本で演奏していると言わなければわからないほど研ぎ澄まされた空気の音を聴けば、不思議と集中力が高まり体感温度がさがる。右手と左手が同時に音を出すことがないからこそ、楽曲のシンプルな響きが舘野マジックによる音色によって奏でられる。そこには不自由な感じは一瞬もなく有無をいわさずものすごい説得力のある演奏だ。まるで五本の指から放たれる宇宙である。

タピオラ幻景 -左手のためのピアノ作品集2-

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出張でした

いやあつかれた。
最近バタバタしております。

At the Prelude レッド・ガーランド ~レッド・ガーランド不屈のライブ名盤

At the Prelude
レッド・ガーランド


マイルス・デイビスのサポートも勤めたことがあるレッド・ガーランド。彼のピアノのことを「カクテルピアノ」だとか「金太郎飴ピアノ」と呼ぶ人もいる。だれかがそのように呼ぶということは、そのような根拠があってよぶのである。

心躍るようなイントロを引き上げるイントロ名人ぶりなど特徴的な輝かしさはある。しかし三連符の真ん中のタイミングではいるブロックコードを主体としたコンピング、どの曲を弾かせても抜群の安定感をみせる節回しなど、彼はたしかに非常にオーソドックスなプレイスタイルであり、見る人から見れば「カクテルピアノ」だとか「金太郎飴ピアノ」呼ばわりされても幾分仕方がない。

だがそこがよいのである。エンターテイメント精神あふれるリラックスした雰囲気のピアノは彼ならではのもの。シリアスさとは無縁で聴き手に余分な負荷がかからないところがよいのである。イントロ名人とよばれるそのイントロにおけるすばらしい仕事ぶり、そしてスタンダードチューンをひたすらスインギーに歌い上げるピアノがただただ楽しい。スリリングなドラムとの掛け合いもあいまって本作はライブ録音なのでまるで観客になったかのような気分になるのである。

本作をお持ちでないジャズファンの人は「ジャズを楽しむ」ことにおいて幾分か損をしていると思う。

At the Prelude

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ドビュッシー:ピアノ作品全集 ベロフ(P) ~ドビュッシーピアノ作品集のマストアイテム

ドビュッシー:ピアノ作品全集
ベロフ(P)


クラシックには楽譜がある。一瞬にして空気の中へ消えてしまう感情のこもった音のつながりを楽譜へ書き記すことは、音楽を音として記録する手段がなかったころ作曲家が自分の作品を後世にのこす唯一の手段であった。クラシックの演奏者は書かれた楽譜を書かれたとおりに演奏さえすれば一通りのドラマはそれなりに成立してしまう。

しかし、音を追求すればするほどそのような生易しい心構えでは通用しなくなるのもクラシックの世界である。弾く音は決まっているからこそ、よりいっそう「どのような音色でその音を出すのか」が重要になってくるのである。クラシック奏者が楽器をいかに鳴らすかにこだわる理由はそこにあるのだと思う。

閑話休題、本作を一聴した第一印象が「この人の音は生きている!」というものであった。まるでドビュッシーがひらめいた音の世界がそのまま繰り広げられているようで聴いていると自然と頭の中が静かになる。数あるドビュッシーピアノ作品の中でも群を抜いて高評価を勝ち得ている理由もうなづける内容だ。卓越した楽器の鳴りをコントロールするテクニックはもちろんのこと、楽譜の向こう側を表現する力、楽曲に対する解釈の深さがずば抜けている。

5枚組みのボックスセットでドビュッシーの重要な作品はほぼ網羅されているといってもよい。ドビュッシーのコレクションをはじめた人たちのマストアイテム、さらには里程標というかひとつの到達点と呼ぶにふさわしい内容である。


ドビュッシー:ピアノ作品全集

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近代フランス・ピアノ名曲選 ペルルミュテール(P) ~ラヴェルの弟子ペルルミュテール

近代フランス・ピアノ名曲選
ペルルミュテール(P)


「ラヴェルの弟子ペルルミュテール」、ラヴェル作品を探し回っていると必ずこの人に出くわす。ラヴェル本人から楽曲の解釈や表現を直接手ほどきを受けたラヴェル弾きであり、いわば作曲家の意図にもっとも忠実な演奏をするという超がつくほど重要人物なのである。

幼少のころよりすさまじい才能のピアノ弾きであった彼が、20代後半のころラヴェルの目の前でラヴェルのピアノ作品のほとんどすべての楽曲を弾いて見せる機会があったという。そのときに彼はラヴェル本人から譜面には記載されていない演奏のニュアンスや楽曲の解釈、作品にこめられた意図などすべてを教え込まれたという。本作ジャケット写真には、赤青黒三色にてびっしりと書き込みがされたソナチネの楽譜が写っているのである。

本作はラヴェルの弟子であるペルルミュテールが行ったピアノリサイタルの一幕である。彼の音からはどこか優雅な香りがする。言葉にすると非常に陳腐な表現になってしまうのが残念でならないのだが、ほかのプレイヤーとは異なる独特の気品・香気がサウンドにある。またラヴェル作品だけでなくドビュッシーなどの楽曲もすばらしい。録音は高品質な技術で定評のあるDENONから。これもまたうれしいことである。

近代フランス・ピアノ名曲選

■Ravel Piano Works ペルルミュテール(P)
かれの弾くラヴェル作品集である。発見したのであれば有無を言わさずゲットするべし!

Ravel Piano Works

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スピーク・ライク・ア・チャイルド ハービー・ハンコック ~ジャズ史上最もロマンティックな1枚

スピーク・ライク・ア・チャイルド
ハービー・ハンコック


「ジャズ史上最もロマンティックな1枚」そんな言葉が似合うのが本作である。ハービーの持つリリカルな面が全面的に出た傑作である。

ピアノ、ベース、ドラムによるピアノトリオをサウンドの核にすえながら、ジャズの楽器編成ではあまりないフリューゲルホルン、バストロンボーン、アルトフルートがハービーのサウンドを広げてゆく。これらはどちらかというと花形の楽器ではなくサポート楽器とでもいうのだろうか、音の重心が低い楽器群でクラシックの世界でもあまり見かけない楽器だ。これらの楽器によるソロまわしは一切なく、始終一貫してテーマのメロディーを吹いたりオブリガートを入れたりとピアノトリオのサウンドをサポートする役割をする。

やわらかい音色による楽器たちのハーモニーは印象派を思わせるような色彩感がでており、モーダルな音使いと独特のビハインド気味なタイム感のピアノとあいまって甘すぎず苦すぎずのちょうどよいところで最高にロマンチックなサウンドになっている。

そのサウンドの繊細さといい色彩感といい、クラシックファンにも胸を張ってオススメできる1枚である。

スピーク・ライク・ア・チャイルド+3

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出張にいってました

わんわんわんです。
ただいま出張から戻ってまいりました。
ほんとうに北海道はでっかいどうでした。
今日はもうねますね。

グリーグ:抒情小曲集 メジューエワ(P) ~森の妖精のような音楽

グリーグ:抒情小曲集
メジューエワ(P)


深い緑の木々をバックにたたずむ白い女性のジャケットが印象的。妖精のような彼女こそメジューエワである。本作は彼女が奏でるグリーグのピアノ曲を思う存分堪能できる良き1枚だ。

グリーグといえばシベリウスと同様の北欧の美メロが特徴で、そのメロディーの美しさは誰もが知っている彼一番の有名曲「ペールギュント 朝 」。音楽の授業で聞いたアレである。本作は素朴で心休まるシンプルなメロディーの宝庫、ココロのふるさとのような作品である。白夜と極夜の国ノルウェーなどの北欧の国々にはそのような可憐で生命力のある楽曲があふれている。

メロディーがシンプルなだけに、それだけ演奏者の表現力が試される楽曲なのだが、それは心配無用である。彼女は「おとぎ話/忘れられた調べ~メトネル作品集」で取り上げらように相変わらず驚異的な楽器コントロール力の持ち主。まるで澄んだガラス細工のような音色は指先からのピアノを操ろうとする意識や感情がそのまま音に現れているようだ。楽曲のよさをこれでもかと引き出すような演奏設計も彼女の音楽性の高さがあってこそのものだ。

また、それを余すことなく捕らえる録音の質の高さも特筆すべきであろう。それは沈み込むようなピアニッシモからココロを揺さぶるフォルテッシモまでその端麗でありながらやわらかく品のある音色と表現力は自然と聴く者を無言にし音楽に集中させてしまう妖術。本作をいったんプレイヤーに乗せてしまうと妖精が、音楽がジャケットのような新緑の世界へとわれわれをいざなうのである。

Amazonのリンク先ではなんとこれが1000円でお釣りがきてしまうという。これはありがたいことだ。

グリーグ:抒情小曲集

■おとぎ話/忘れられた調べ~メトネル作品集
これぞ奇跡の録音技術、メジューエワの技術を120%ディスクの中に閉じ込めた名作だ。これも1000円でおつりが来てしまうのはもったいないと思うのだが喜ばしいことでもある。

おとぎ話/忘れられた調べ~メトネル作品集

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ラヴェル:10弦ギター&アルト・ギターによる作品集 アンデシュ・ミオリン(Gt) ~ギターによるラヴェル作品集

ラヴェル:10弦ギター&アルト・ギターによる作品集
アンデシュ・ミオリン(Gt)

ラヴェルの楽曲はピアノで弾くのが難しいとされている。ラヴェルはピアノで弾くということを考慮せずに作曲したという。ラヴェルの難曲をギターにて演奏する人がいる。そういう噂を聞きつけて探したところ本作にヒットした。

スペインのギターの名手セゴビア(クラシックギターの開祖)は1920年台の初頭にパリでラヴェルに会っているという。ラヴェルはセゴビアのギターに感銘を受けて彼のために小品を作曲すると約束をしたそうであるがその約束はかなわなかったそうである。ラヴェルの母方は周知のとおりスペイン系の人である。彼が幼少のころスペイン語やスペインのギターを使ったさまざまな音楽があったにもかかわらず彼はギター向けの楽曲を書かなかったというのはなんとも不思議な話しだ。

そんなラヴェルとセゴビアの約束がかなったのが本作ではなかろうか。アンデシュ・ミオリンはラヴェルとセゴビアの約束をかなえるべくラヴェルの楽曲を研究・追求し、ギターバージョンにアレンジし直したものである。「亡き女王の~」や「クープランの墓」、はたまた大曲の「マ・メール・ロワ」までおなじみのラヴェルの楽曲が最初からギター向けに書かれたものではないかと錯覚するほどのクオリティーである。

演奏するミオリンは通常のギターではなく10弦ギター、11弦ギター(アルトギター)を用いているという。これらのギターはジャケット写真からもわかるようにネック幅がとてつもなく広い。弾いてない弦のミュートが大変だろうが、ミオリンは難なく弾きこなすテクニシャンである。指が何本あるのだろうというレベルである。ピアノとギターを比べるとわかるように楽器が楽器だけにダイナミクスの幅が広いピアノバージョンに比べるとこじんまりした印象は否めない。しかしそれでも十分驚愕に値する演奏内容だ。

ラベル:10弦ギター&アルト・ギターによる作品集

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Svengali ギル・エバンス ~ギルエバンスの魔術的なアレンジ

Svengali
ギル・エバンス&ザ・マンデイ・ナイト・オーケストラ


本作は70年台のギル・エバンス・オーケストラを代表する名盤。「スヴェンガリ」と読むそうだ。若き日のデビット・サンボーン(As)マーヴィン・ピーターソン(Tp)テッド・ダンバー(gt,Egt)などなどメンバーも最強レベルである。この記事を書くにあたっていろいろ調査していたところ、Amazonにて超破格値¥662にて販売中ということに驚く。

ギル・エバンスのサウンドの特徴としてジャズではあまり用いられないフレンチホルンやチューバなどを導入している点がある。これらの楽器のおかげで従来のジャズビッグバンド編成にはない音の柔らかさ・分厚さ・広がりを出すことに成功している。本作では電子楽器の大胆な導入もミソである。

また各ソロイストの裁量が大きいので「成り行き」みたいな展開になることがあるのだが、ソロイストは名手(というかバンドメンバーは全員名手だらけ)なので空中分解することない。偶発的なサウンドやアクシデントがスリリングな展開となる。ギル自身が選んだバンドメンバーの技術・能力を信頼しているからこそまとまるところがしっかりまとまるのである。

作品後半のスローナンバー「サマータイム」から「Zee Zee」にかけてはジャズビッグバンドにない「フランス的」色彩感があり、これぞギル・エバンス・マジックというサウンドメイキングだ。ジャコ・パストリアス・ビッグバンドのクロージングテーマとして有名な名曲の「イレヴン」も収録されているのもちょっとしたボーナスだ。ちなみに「Svengali」というタイトルは「Gil Evans」の文字を入れ替えたものだという。

Svengali

■Invitation ジャコ・パストリアス
ジャコのビッグバンドのライブ盤だ。これまたものすごくドライブする演奏がすばらしい。ハーモニーの作り方や楽器の重ね方などサウンドの要所にギル・エバンスからの影響がうかがえる。

Invitation

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ラヴェル:ピアノ曲全集 パスカル・ロジェ(P) ~まずはこれを抑えれば間違いなし。

ラヴェル:ピアノ曲全集
パスカル・ロジェ(P)

ジャズを中心としてこれまで音楽を聴いてきたので正直クラシックには見向きもしなかったのだ。しかしジャズとクラシックには意外な親和性というか親縁性があり、今では聴く音楽の8割がクラシックになってしまった。しかし、たまたまつけたラジオから流れるセブラックの楽曲にココロを奪われたのである。その感動がドビュッシーやラヴェルへ派生し現在に至る。

ジャズを中心に聴いてきたころ、わんわんわんは「この人は何を聴いてきたのだろうか?どこから影響を受けてこのサウンドが出てくるのだろうか?」という音楽の聴き方をしていたのである。源流を目指して川上を登りつづけるとでも例えたらよいのだろうか、この聴き方は今でも変わらない。ビル・エバンスのハーモニーはドビュッシーそのものである。ビル・エバンスが好きならばドビュッシーを聴かねば損なのである。ドビュッシーを好きならばビル・エバンスを聴かねば損なのである。

そんなこんなでクラシックにはまりだしてからラヴェルを追いかけ続けて、そろそろ1年になる。ラヴェルのピアノ作品集だけでももうすぐ10枚に達しようとしている。

本作はラヴェルピアノ作品集の中では比較的人気が高く、長らく「ラヴェルのピアノ作品集を聴くならこれ」という、いわばリファレンス盤という地位にあった。しかし巷の評判は思いのほか意見が割れている。本作が収録されたのが1970年代ということもあって、いささか損をしているところもあるのだろう。録音技術が進化した現在ではロルティ盤やティボーテ盤タロー盤アース盤などの優れた新録音が出回っているため、どうしても巷の評判どおり「なにかが足りない」感があるのは否めない。

これだけ優れた新録音が出回っている現在から当時のことを思うと、録音技術が演奏者の意識の生々しさについて行けなかったのではないだろうかと思うのである。その証として一度プレイヤーにディスクをのせてしまえば一気に聴きとおせてしまうのである。演奏自体は確実にストライクゾーンに入っているのである。巷の「いまひとつ」という評価は録音技術の問題ではないかと思う。「亡き女王のための~」や「鏡」、「水の戯れ」などあまりにも繊細な演奏に思わず涙腺が緩むほどの感動である。本人による再録音を熱望してやまない。

ラヴェル:ピアノ曲全集

■Complete Works for Solo Piano ルイ・ロルティ(P)
これが「ロルティ盤」のラヴェルピアノ作品集。「心・技・体」よしの3良しである。そのクオリティーは一家に一枚すべての音楽ファンにオススメしたい最強レベルだ。ラヴェルファンならばもっていなければバチがあたるレベルだ。

Complete Works for Solo Piano

■ひまわりの海~セヴラック:ピアノ作品集 舘野泉(P)
こんな楽曲がクラシックにあったのかと目からうろこ耳からうろこの作品。わんわんわんがクラシックを聴くきっかけとなった作品。

ひまわりの海~セヴラック:ピアノ作品集

 

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Sweet Rain スタン・ゲッツ ~ボサノバ後に進化したゲッツの名盤

Sweet Rain
スタン・ゲッツ


梅雨なので雨にちなんだセレクションをしようとするのだが、わんわんわんの住む名古屋エリアではここのところ雨が降らない。今年もカラ梅雨の予感がする。しかし車を洗うと…運命のいたずらだろうか狙ったように雨が降る。

閑話休題、ご存知ゲッツはボサノバブームに乗ってジョアン・ジルベルトなどと活動していた。ゲッツがボサノバでしっかり稼いでいるあいだジャズシーンでは、これまでメインストリームであったハードバップが一区切りついて、マイルスがいわゆる「黄金のクインテット」を率いるようになり、コルトレーンのモーダルなプレイが台頭していたのである。

一世風靡したボサノバブームが一息ついたスタン・ゲッツが新しいジャズに取り組もうとし、デビューして間もないチック・コリアをピアノに迎えて再びジャズに戻ってきた作品が本作だ。チックの参加によってスタン・ゲッツのプレイはボサノバの時顕著であったスウィートでウォームな節回しを残しつつも、やや硬質でモーダルな「一歩引いた自己主張」へ変化を遂げた。チックのシングルトーンとブロックコードを巧みに使い分ける凛としたピアニズムがゲッツのプレイを変えたのである。

冒頭の「Litha」はチック作曲。緩急組み合わさったリズムチェンジでスピーディーな展開をみせる彼らしい佳曲。やさしく降り注ぐ雨のようにやわらかく響くテナーのサブトーンと甘い響きを残しながら燃え上がるスピーディーな場面は、ゲッツの新たなプレイスタイルを暗示している。もちろんボサノバもやっているのだがチックのピアノに変わるだけでコマーシャリズム一辺倒だった楽曲にぐっと深みが増す。

もちろんモーダルなベースラインを得意とするロン・カーターのベースも一役買っている。ロンは先述の「黄金のクインテット」のメンバーである。そのせいかバラッドをプレイするゲッツにウエイン・ショーターのようなミステリアスな雰囲気がでてきているのも興味深い。グラディー・テイトの歌心あふれるドラムプレイも見逃せない。

Sweet Rain (Dig)

■ゲッツ/ジルベルト
言わずもながの大名盤。すべての音楽ファンに送りたい1枚だ。これでゲッツの懐はかなり豊かになったそうだが悪魔の誘惑には勝てず、ここで得た収入をもちいて再びクスリに手を染めてしまう。

ゲッツ/ジルベルト

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