わんわんわんの名盤探索

わんわんわんがオススメする名盤

The Man With The Horn マイルス・デイビス ~マーカス・ミラーのマイルスバンド抜擢作

The Man With The Horn
マイルス・デイビス


マイルス・デイビスは常に自らの音楽へ最新の音楽の要素を取り入れている。1991年に鬼籍に入るのだが、その遺作となる「Doo-Bop」ではなんとヒップホップであった。前へ前へと時代を切り開いてゆくところは非常に彼らしい。

本作は1981年に発表された作品。マイルスが1970年代後半に体調を崩し休養に入てからのカムバックアルバムで、モード的奏法よりも音を自由に解釈できるファンクのワンコードに着眼し、さまざまな可能性を模索し始めたころである。

「ファット・タイム」でマイク・スターンの繊細でありながら猛獣のようなギターがのっけから炸裂するのだか、本作の特筆すべきところはマーカス・ミラーの登用である。全曲にわたってマーカスのセクシーなベースプレイが冴え渡っている。アル・フォースターの少々軽めのファンクドラム(シンバルの音色が重いので不思議とバランスが取れている)とマーカスのセクシーなベースプレイがしっかりサウンドのボトムを支えているので、ハーモニーやメロディーは散らばったり集まったりと自由に動くことができる。

本作より長きにわたってマーカスはマイルスの音楽的パートナーとなってゆくのである。

ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン

■Doo Bop
マイルス・デイビス

マイルスの遺作。クラシックで生まれジャズで育ち最後はヒップホップであった。特注の塗装と彫刻が施されたマーチン社のトランペットがオシャレだ。

Doo Bop
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ドット・コム・ブルース ジミー・スミス ~ブルースのトッププレイヤーと共演した名盤

ドット・コム・ブルース
ジミー・スミス


ジャズオルガンの第一人者ジミー・スミスがブルース人脈のビッグネームたちと共演した作品だ。それぞれ異なる個性のブルースのトッププレイヤーが1曲づつジミー・スミスと共演したとても贅沢なつくりだ。

参加者はドクター・ジョン、BBキング、エッタ・ジョーンズ、タジ・マハール、フィル・アップチャーチ、ラッセル・マローン…。名前の列挙だけで肉汁たっぷりの肉まんを口の中にたくさんねじ込まれたくらいの超ガッツリ系な内容だ。

全曲12小節単位でコード進行が繰り返されるブルースなのだが、どの曲もそれぞれの個性が出ており一曲づつ全く違う曲になっている。これだけの面子だとそれは当然といえば当然のことである。中でもボーカルとギターでタジ・マハールの参加する3曲目が特にすばらしい。ナンジャコリャというようなボーカルのアプローチ、ナンジャコリャというようなギターのアプローチ、聴く者に「この人にはかなわない」と思わせるようなプレイだ。やはりタジ・マハールはものすごいセンスの持ち主だ。

ジャズであってもブルースであっても「オルガンはかくあるべし!」といった内容で、バッキングにまわってもソロをとってもジミー・スミスのすさまじいオルガンプレイは絶好調である。全曲にわたってサポートしているドラムのハービー・メイソンのコンテンポラリーで堅実なドラミングもキラリと光る好演である。とってもファンクでニューオーリンズなブルースの名盤である。

ドット・コム・ブルース

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 キース・ジャレット ~キースのクラシック作品にしてクラシックの名盤

バッハ:ゴルトベルク変奏曲
キース・ジャレット


ご存知のかたはご存知であろう、ジャズピアニストのキース・ジャレットはクラシックの作品も収録している。キースが本格的にクラシックの録音に取り組んだのはECMレーベルのクラシック部門設立にあたってのプロジェクトだったらしい。数あるゴルトベルク変奏曲の中でもとりわけ人気と意外性の高い1枚である。

ゴルトベルク変奏曲というとやはりグールドの作品が圧倒的なすばらしさなのだがグールドはピアノを用いている(これがまた狂気の沙汰と思えるくらいの音色コントロールなのだ)。しかし本作はバッハのゴルトベルク変奏曲をキースがハープシコードを弾いているのである。バッハの時代にはもちろんピアノはない。なので「楽譜どおり」という意味ではピアノを使ったグールドの演奏よりもハープシコードを使ったキースの演奏のほうが作曲者の意図に近い「楽譜どおり」であるという解釈は間違いであろうか。

演奏のアプローチもリズムをちょっぴり崩したいわゆる「ジャズ風」ではなく直球勝負のバッハである。キースっはハープシコードならではのきらびやかな装飾音もしっかり手抜かりなく弾ききっている。キースの普段のピアノプレイ自体小難しいテンションノートは使わずにシンプルなトライアド和音に基づくものであるから、バッハも同じ自分のボキャブラリーとして自然にプレイできたのだろう。

ハープシコード自体ダイナミクスがつけづらい楽器であるのだが、録音のクオリティーもあいまってハープシコードがこれほどまで生々しい弦の響きがする楽器であるということを見直さざるを得ない作品である。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲

■バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音) グレン・グールド(P)
グールドのゴールドベルク変奏曲は2枚ある。本作は円熟の81年盤。ピアニストならば「なんということだ!」とその楽器コントロール力に驚くこと請け合いである。

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)

■バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル盤) グレン・グールド(P)
こちらはグールドのデビュー作として知られるゴールドベルク変奏曲。驚愕の55年盤である。
デビュー作にてこんなに勢いよくグルーブしているのに完璧なほど緻密な演奏である。
やはりこの人は天才だ。

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル盤)

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フランスの風 レ・ヴァン・フランセ ~木管楽器の最強プレイヤーによる夢の名盤

フランスの風
レ・ヴァン・フランセ

じつは現在本作が猛烈にヘビーローテーション中である。これぞ今年上半期至宝の1枚というべき名盤である。世界最高峰フルート奏者エマニュエル・パユやクラリネット界ではその名を知らぬものなどいないというポール・メイエをはじめ、5人の管楽器の世界的トッププレイヤーたちで結成された集団だ。Les Vents Francaisとはフランスの風という意味のほかにフランスの管楽器という意味もある。

本作は2枚組みになっており充実の内容である。1枚目のテーマは「フランスの管楽作品」ということでフランス近代音楽を中心とした楽曲でラヴェルはもちろんのことミヨーなど選曲はずばりのわんわんわんのツボをついている。やはり色彩感あふれるフランス近代ものには木管楽器の響きがよくにあう。2枚目は「20世紀の管楽作品」とタイトルがついており、サミュエル・バーバーなどの近代アメリカの作曲家が入っているのも見逃せない。

この人たちは本当に上手い。それぞれの楽器がどのような動きをしてほかの音と音がどのような重なり方をしているか、どのようなアーティキュレーションにて吹いているのかなどいろいろな角度から楽しめる。木管楽器はとくに吹く強さや使用する音域で音色が変わるので聴いていて面白い。そのサウンドはただただ「スゲー!」と音に身を預けるばかりである。


フランスの風

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Ridin' High Hod O'Brien ~これぞバップピアノの隠れ名盤

Ridin' High
Hod O'Brien

ちょっと気が利いたジャズディスクガイドならば比較的掲載される機会が多い1枚なので本作を血眼になって探しておられる諸兄も多いのではないだろうか。正統派ビバップピアノの名手ホッド・オブライエンが収録したジャズピアノトリオの名盤である。これぞバップピアノという手本のような演奏で何回聴いても飽きがくることはない。まさしく「隠れ名盤」という言葉がぴったりくる1枚である。

共演メンバーもレイ・ドラモンド(B)、ケニー・ワシントン(Dr)と堅実なバッキングが定評な面子だ。とくにケニー・ワシントンの気が利いた小技もさることながら、とりわけ低音成分が響き続けるシンバルレガートがすばらしい。

ジャズのシンバルレガートは低音成分をシンバルから引き出すことが非常に重要で、この低音成分がバンドのアンサンブルをバラつきなく包みつづけなければ本物の「レガート」にならないのである。本作はドラマーにとってもシンバルをチンチキチンチキとたたけばジャズになるものではないと非常に勉強になる1枚だ。

Ridin' High

■LIVE AT BLUES ALLEY-THIRD SET
Hod O'Brien
同一メンバーによるライブだ。ここでも名手ケニー・ワシントンのドラムはすばらしい。彼のドラムで観客が次第に熱気を帯びてゆく様子が手に取るようにわかる。

LIVE AT BLUES ALLEY-THIRD SET

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ラテン・アメリカ・シンフォニエッタ モートン・グールド(Cond) ~近代アメリカクラシックの傑作

ラテン・アメリカ・シンフォニエッタ
モートン・グールド(Cond)


アメリカの作曲家・指揮者・ピアニストのモートン・グールドの作品である。ご存知の方はおそらくご存知であろう。そう、「日曜洋画劇場」のエンディング曲の「So In Love」、コール・ポーター作曲のジャズのスタンダードチューンをオーケストラアレンジがあまりにも有名だ。映画評論家の故淀川長治氏の眉毛を動かしながらの「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…」

本作はそんなモートン・グールドの代表作のうちのひとつである。彼はクラシックからテレビ・映画音楽などの商用音楽まで幅広く活躍しており、アメリカポピュラーミュージックの歴史の一翼をになってきたといっても過言ではないキャリアの持ち主だ。

「ラテン・アメリカ・シンフォニエッタ」は作品タイトルが示すように本作はラテンアメリカのサウンドが色濃く反映された交響楽作品だ。日曜洋画劇場エンディングテーマとともに日本でも親しまれている楽曲である。リズミックな弦楽器、豪快に鳴り響く金管楽器 緻密かつ高度な技量の打楽器軍団(緻密で繊細かつ大胆なスティックコントロールがすばらしいスネアドラム奏者に何か賞を差し上げたいほどだ)、通常のオーケストラでは珍しい多くのパーカッションやギターも用いられており変化球も満載で途中で飽きることがない。

現在では恐ろしいほどの高値がついている。町で見かけたならば速攻で確保すべし。

グールド:ラテン・アメリカ・シンフォニエッタ@〔全7曲〕グールド/LSO

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Individualism of Gil Evans Gil Evans ~ジャズのオーケストレーションへ革命をもたらした1枚

Individualism of Gil Evans
Gil Evans


邦題は「ギル・エヴァンスの個性と発展」。本作はジャズ界のラヴェルことギル・エバンスの名作名盤である。ギル・エバンス率いる一流どころのミュージシャンを従えたマンデイ・ナイト・ジャズ・オーケストラがジャズのバンドサウンドに革命をもたらした1枚として名高い。

フレンチホルンやチューバなどジャズのフォーマットにはないクラシックのオーケストレーションにちなんだ楽器編成である。実はわんわんわんがラヴェルに懲りだしたのは、この楽器編成でこれだけの広がりのあるサウンドができるのはなぜだろうと研究をはじめ、行き着いたところがオーケストレーションの魔術師ラヴェルであったのだ。楽器どうしを組み合わせることによって新たな音色をマニピュレートする発想はラヴェルのオーケストレーションの手法そのものではないかと思う。特に「Las Vegas Tango」のオーケストレーションは秀逸だ。よくこの人数でここまでのサウンドの広がりを出せたものだ。

なぜこのようなサウンドが出来上がったのだろう。作曲者などには印税が入ってきてもアレンジャーにはお金が入ってこないのである。これがギル・エバンスの貧乏の元であり、そして最小限の編成(予算)で最大限の効果を上げるギルエバンスマジックの源ではなかったのだろうかと勝手な推測をする。

本作はエリック・ドルフィーやロン・カーター、サド・ジョーンズ、ケニー・バレルなどサイドメンも充実している。ウエイン・ショーターのソロやエルビン・ジョーンズのドラムが炸裂するので聴き所も満載なので十分楽しめる1枚だ。20世紀を代表する名盤によく取り上げられるのも納得である。

そして世代的には新しいジャズのほうがクラシックの手法を取り入れて新たなサウンドを作り出している現象がとても興味深い。

Individualism of Gil Evans

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ラヴェル:マ・メール・ロワ、ボレロ、スペイン狂詩曲 ブーレーズ(cond) ~ラヴェルオーケストラ作品の名盤

ラヴェル:マ・メール・ロワ、ボレロ、スペイン狂詩曲
ブーレーズ(cond)


先日のラフォル・ジュルネ・オ・ジャポン(LFJ)にて来日していたというピーエール・ブーレーズ氏。偶然つけたNHKラジオにて流れた彼の指揮するフランスもののオーケストラの完成度の高さにただただ感服するばかりであった。本作はブーレーズがベルリンフィルで指揮をとったラヴェル作品集である。ラヴェルファンならばクリュイタンス盤とともにマストアイテムとされる1枚だ。

管楽器と弦楽器と打楽器の織り成す神のような緻密なオーケストレーションのラヴェルと、ひとつの偶発的な失敗もゆるされないほど緻密な演奏指示のブーレーズ、そしてその要求に見事答えきっている世界最高峰のレベルをほこるといわれているベルリンフィルの技術。

とりわけ弦楽器の繊細な統率力と表現力には背筋が凍るほどだ。個人的にはもうすこし木管楽器軍団のアクが強いほうがすきなのだが、それはこの演奏を前にして贅沢すぎる願望だろう。緻密な楽曲と緻密な演奏が織り成す童話の世界「マ・メール・ロワ」(ガチョウおばさんという意味だそうだ)は、細部までくっきり描きこまれた絵本のようである。

それにしてもこれほどまでの演奏を生で体験できる環境がヨーロッパにはあるという。ロックもファンクもジャズもラテンもクラシックもポップスもヒップホップも同じレベルで接することのできるヨーロッパの環境が非常にうらやましい。

ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、他

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聖なる館 レッド・ツェッペリン ~多様な音楽性はただのハードロックではない証

聖なる館
レッド・ツェッペリン


わんわんわんはジャズやクラシックだけでなくツェッペリンも聴くのである。本作はツェッペリンの5枚目のアルバムだ。ツェッペリンというと「天国への階段」が収録された4枚目のほうが有名なのだが、個人的には本作を強くお勧めする。エレクトリックとアコースティックの両方のツェッペリンがバランスよく収録されており、どの曲もハズレなし「捨て曲なし」である。

どの曲もすばらしいのだが、とりわけ「The Ocean」の変拍子が理屈抜きにかっこよすぎる。ボンゾのステディーなグルーブにジミー・ペイジのギターとジョン・ポールジョーンズエレキベース(音の歪ませ具合とつやの乗り具合がすばらしい)が変拍子のリフをユニゾンで演奏する。

ツェッペリンのメンバーの中で抜きん出たキャラはやっぱりジョン・ボーナム(Dr)なのだが、サウンド作りの中で重要な役割を果たしているのはベースのジョン・ポールジョーンズ(以下愛称のジョンジー)ではないだろうか。彼はエレキベースだけでなくピアノやキーボードも弾くしチェロも弾くというマルチプレイヤーなのだ。ツェッペリンがただのハードロックバンドではないのは、アレンジ面などの音楽的な役割においてジョンジーの存在が大きかったのである。多様な音楽性の本作こそジョンジーなしでは生まれなかったのだと思う。

聖なる館

■レッド・ツェッペリンIV
やはりこちらのほうがポピュラーなのだろう。それもそのはず超有名曲が勢ぞろいだ。

レッド・ツェッペリンIV

■Physical Graffiti
こちらを聴けば日本のB'zがどれだけ彼らのことを愛して影響されたかがお分かりいただけるであろう。「ほぼそのままの形」でB'zがインスパイアされている曲もある。

Physical Graffiti

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ラヴェル:夜のガスパール ウラジミール・アシュケナージ(P) ~闇のようなピアニッシモ表現がすばらしい

ラヴェル:夜のガスパール
ウラジミール・アシュケナージ(P)


わんわんわんのラヴェル漁りはまだ続いている。本作はラヴェルピアノ作品集の隠れ名盤という表現がぴったりだろうか。名手アシュケナージが収録したラヴェルピアノ作品集である。

彼は背丈が168cmと低いので手も小さいという。そのためテクニックに少々難があるという評判をちらほら聞くのであるが、本作を聴く限りそのようなマイナスイメージの印象は全くない。18歳の時にショパン国際ピアノコンクールに出場し準優勝に輝いた経歴があるほどのテクニシャンだ。この時にアシュケナージが優勝を逃したことに納得できなかったミケランジェリが審査員を降板する騒動を起こしたことはよく知られている。ミケランジェリのお気に入りだったのである。

ミケランジェリのそれと比較して全く引けをとらないほど深く沈みこむようなピアニッシモ表現が秀逸だ。それはまさしく「夜」の静けさを表現しているようだ。「夜のガスパール 絞首台」に耳を傾けていただきたい。彼が澄んだ音色でつむぎだす闇のようなピアニッシモは聴く者の緊張感と集中力を極限までに高め、「まったく音がない無音」よりもさらに「静寂」な状態を表現するのである。なんとも詩的な情景が目に浮かぶ。「亡き女王のためのパヴァーヌ」では少々演奏設計がふらつくというところは否めないが全体のレベルは相当に高い。

わんわんわんの手元にあるCDにはAmazonのリンクにあるようなドビュッシーやスクリャービンは収録されていないのでAmazonのリンクにあるものはお徳であろう。入手が難しくなっている1枚である。

ラヴェル:夜のガスパール

■Complete Works for Solo Piano Maurice Ravel
ラヴェルピアノ作品集ではやはりこれに勝るものはないだろう。

Complete Works for Solo Piano

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Tete a Tete テテ・モントリュー ~テテ・モントリューの名盤スペインの血が騒ぐ

Tete a Tete
テテ・モントリュー


本作はスペインの盲目ピアニストのテテ・モントリューの作品の中でも人気が高い1枚。テテ・ア・テテと読むそうだ。赤いジャケットが目を引くデザインで、いわゆる名盤案内本にはかなりの高頻度で登場する。

冒頭の「What's New」でサラーッと聴くものの心をつかむ。彼のピアノの特徴として「盲目の人独特のねばり」が音にあるのだがそれは泥臭い粘りでは決してない。繊細かつドラマティックな情熱があふれて留まることをしらないことからくる音の洪水なのである。実際かなりフレーズの息が長く次々と展開してゆくので粘りのある音なのである。

ベースもペデルセンが好サポート。ステープルチェースというレーベルはドラムの音作りセンスに疑問を感じてしまう(マイクと楽器が近いのか?ドラムセット全体を拾うオーバーヘッドマイクを使ってないのか?なんでもっとシンバルの低音を拾おうとしないのか?)ところがあるのだが、本作はドタドタパタパタ感は少なく仕上がっている。

収録曲もスタンダード曲が多く聴きやすいのだが、なんといってもテテワールドが全開となる自作の最終曲「カタラン組曲」が秀逸だ。またこれも入手が難しくなっている1枚で中古在庫を探すか再発を待つしかない。


テテ・ア・テテ

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テンダネス アル・ジャロウ ~空前絶後の超豪華な面子。貴重な1枚。

テンダネス
アル・ジャロウ


「なんという豪華な顔ぶれなんや!(三重弁)」手にした瞬間ついて出てきた言葉がこれである。マーカス・ミラー(B)ジョー・サンプル(Key)スティーブ・ガッド(Dr)エリック・ゲイル(Gt)ポリーニョ・ダコスタ(Per)…~。4オクターブの声を持つテクニシャンの彼がジャンルを飛び越えてさまざまな楽曲を歌っている。しかも腕利きのトッププレイヤーたちが集ってバッキングした「奇跡のスタジオライブレコーディング」である。

1曲目の「Mas Que Nada」はスティーブ・ガッドの5つ割のフレーズで観客が大いに沸く。ステージの幕開けにふさわしいエモーショナルな歌唱だ。各ジャンルからさまざまな名曲がピックアップされているので捨て曲がない。何でも歌う彼らしい選曲である。

本作の着眼点としてはベーシストのマーカス・ミラーの自分を出しながら主役を立たせる能力とベースプレイのうまさだ。とかくスラップが取りざたされるマーカスなのだが(当然マーカスのスラップはかっこいい)指弾きのマーカスも色気たっぷりのベースプレイだ。ベーシストであれば必ず勉強になる。さらにはマーカス・ミラーのプロデュース能力(サウンドをまとめる能力)には舌を巻く。メインのアル・ジャロウをまったく邪魔せずにマーカス色を出せるのはさすがマイルスが着目しただけの男である。

現在ではあきれるほど高値で取引されている本作だが、四日市の何気ない本屋さんで入手できたわんわんわんは本当にラッキーであった。

テンダネス

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Fancy Free ドナルド・バード ~エレクトリックピアノの名盤

Fancy Free
ドナルド・バード


「なぜ?どうして?」レビューを書こうとしていろいろ下調べをしていると、これほどの名盤であっても再発予定がないという。本作はエレキピアノの名盤、ジャズがエレクトリック楽器と手を結び始めたころが好きであるならば見つけたら有無を言わさず入手すべし1枚だ。

1曲目の「FancyFree」ではデューク・ピアソンの奏でるエレピとブラスアンサンブルの音色がさわやかなグルーブの中に混ざり合う。生ピアノではこうはいかなかっただろう、エレキピアノ導入の成功例である。ルー・タバキン(秋吉敏子のだんなさん)のフルートもいい仕事をしている。

2曲目のバラード「I Love The Girl」は名曲である。ドナルド・バードの奏でるトランペットの素直な音色とエレキピアノのリリカルで小粋なバッキングが心地よい。ジャズドラマーのエド・シグペンが発した名言「Ballad Must Be Beautiful,Ballad Must Be Pretty」が正に体現されておりぐっと心に来る1曲だ。ぜひビッグバンドにアレンジして演奏したい曲だ。

別名「ファンクマシーン」と呼ばれるドラムのレオ・モリス(後にイスラム教に入信しアイリス・ムハマッドに改名する)の参加もうれしい。彼の低音を引き出すライドシンバルのクラッシュ奏法はとてもかっこいい。現在のクラブジャズシーンでは彼のドラミングはサンプリングのネタとしても定評がある。ラストの「Weasil」のようなジャズファンクチューンがその一例である。

Fancy Free

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Brazilian Rhapsody ダニエル・バレンボイム ~極上のピアノタッチがブラジル音楽と出会うとき

Brazilian Rhapsody
ダニエル・バレンボイム


ダニエル・バレンボイムはピアニストであり指揮者であり教育者でありイデオロギーの発信者として物議をしばしばかもしている多彩な人である。本作はバレンボイムがブラジル音楽を料理した珍しい作品である。

収録メンバーも超豪華でベルリンフィルの主席フルートなどなどバレンボイムでないと実現できなかった顔ぶれだ。ブラジル音楽界のドンであるミルトン・ナシメントもゲスト参加している。

いずれの曲もブラジルの混血文化特有の「砂埃が立つような躍動感」にフォーカスをおいたものではなく、あくまでもバレンボイムの視点で「クラシック側からアプローチしたブラジル音楽」である。バレンボイムのピアノプレイはブラジルのグルーブに乗り切れておらず中途半端な部分もあるのだが、それを覆すほどの音色がすばらしい。中でもバレンボイムのピアノソロによるダリウス・ミヨーの作品はピカイチだ。ピアノの鳴らし方を熟知している極上のピアノプレイだ。

有名どころの「ブラジル風バッハ第5番」やタイトル曲「ブラジリアン・ラプソディ」なども収録されており、クラシック倦怠期(聴くネタがなくなってきた)を迎えているクラシックファンの方々も楽しめるブラジル音楽入門版として最適である。本作はさまざまな文化を吸収しつづける混血文化(クレオール文化)の研究材料としても面白いのではないだろうか。

ブラジリアン・ラプソディ

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出張でした

わんわんわんです。出張にいってました。
疲れたので今日はねますね。

John Abercrombie Marc Johnson Peter Erskine ジョン・アバークロンビー ~コンテンポラリージャズギターの名盤

John Abercrombie Marc Johnson Peter Erskine
ジョン・アバークロンビー


もしジャズピアノのビル・エバンスがエレキギターを弾いたらどのようなサウンドだったか?

まことに身勝手な想像なのだが、ジョン・アバークロンビーのようなギターを弾いていたのではないかとおもう。ジョン・アバークロンビー(以下ジョンアバ)のプレイはジャズギターの王道をゆくウエス・モンゴメリーのような明快さはない。だが繊細かつ内省的でありながも湧き出てくる感情の高まりを感じる。それはちょうど躍動するオスカー・ピーターソンに対する静かなるビル・エバンスのようである。これは共演者のマーク・ジョンソン(B)が最晩年のビル・エバンス・トリオにいたからということもあるのだろうか。

ジョンアバのそっと弦にふれるタッチから繰り出される深く沈みこむようなピアニッシモの表現が非常にすばらしい。うっすらとコーラスエフェクターがかかっており、線が細いが存在感のあるピアニッシモなのだ。フォービートの曲やバラッドの「アリスの不思議な国(Alice In Wonderland)」「Haunted Heart」ではギターの音がアンプで増幅されているということを忘れてしまうくらい自然と集中力が高くなる。

ライブ録音なので観客の拍手が入っているのだが、その拍手でふとわれに返る。ギターシンセも新たな自分のサウンドとして使いこなしているのだが不思議とエレキ感は感じない。ギターであるということも忘れてしまうくらいだ。

マーク・ジョンソンもエバンス・トリオの時のように作曲するかの様なベースラインを奏でる。そして時として嵐のように時として静かな風のようにとバンドサウンドをサポートするピーター・アースキンの気の利いたドラムもまたすばらしく、太鼓やシンバルを鳴らすという基本的なところに本物の上手さを感じる。

コンテンポラリーなジャズギタートリオの名盤である。

John Abercrombie Marc Johnson Peter Erskine

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Ravel: L'Oeuvre pour piano アレクサンドル・タロー ~ラヴェルピアノ作品につめられたコントロールされた爆発的ドグマ。

Ravel: L'Oeuvre pour piano
アレクサンドル・タロー

ラヴェル信者であるわんわんわんがラヴェル作品をあさっている時にふと出会ってしまった1枚。本作へ手が伸びた理由とは何を隠そうわんわんわんの初代わんわん様は「タロー」という名前だったからだ。茶色の雑種で口の部分が黒いわんわん様であった。エサは味噌汁ごはんであれろうともガツガツ食べた。わんわん様には禁物のねぎ類だって物ともせずガツガツ食べた(注意:ねぎ類とチョコレートはわんわん様にあげてはいけません。最悪の場合死んでしまいます)。名前が一緒という理由で入手した珍しいケースだ。

そろそろ演奏内容の話に移ろう。「技巧的な上手さが表現する爆発的感情」というのが第一印象。「爆発的」という表現を使ってしまうとアルゲリッチのようにテンポが揺らぐほど爆発的な感情に流された激しい演奏を連想させがちなのだが、タローの場合は爆発的な感情の中にどこか冷静な部分が同居しているのである。ダイナミクスにおいてはアルゲリッチ以上に激しい部分があるのだが、どこかでバランスが取れている。すべてを計算した上での爆発なのである。

Amazonのレビューにて他のかたがたが指摘されているように「鏡」や「水の戯れ」がやはりすばらしい。楽譜は同じ鏡や水であってもなにか表情が違うのである。水の戯れでは深い霧の向こうでエメラルドグリーンの水面が時として激しく光を放つ部分と深く沈みこむ部分が複雑かつ緻密に入り組む様子がビジュアルに浮かぶ。その仕掛けは冷徹なまで高められたテクニックによって揺れ動く感情をコントロールして音色に反映しているからなのだろう。天然系のテクニシャン、これが彼の個性なのだ。

それにしてもジャケットの精悍な顔つきを見るたびにピンと立った茶色い耳と黒い口を重ねてしまうわんわんわんなのである。

Ravel: L'Oeuvre pour piano

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熱情のギター マルセル・パウエル ~ブラジル音楽界のサラブレッドの炸裂する超絶ギター。

熱情のギター
マルセル・パウエル

この名前でピンときたかたは鋭い。そう、あのブラジルの伝説的巨匠ギタリストであるバーデン・パウエルのご子息である。バーデン・パウエルは自分の息子をミュージシャンにしたくなかったのだが、ビートルズのイエスタデイを演奏する息子を見てギターの先生を紹介するといったところ「パパから教えてほしい」といわれたそうだ。自分の息子が同じ楽器を演奏しようとしている、父親としてこれほどうれしいことはなかったことだろう。

閑話休題、本作ではタイトでコンテンポラリーなリズムセクションを従え父親以上の高度なテクニックを駆使してギターを縦横無尽に弾きまくる。速く弾くだけではなくそれはスリリングであり情熱的であり確実に父親を乗り越えた感じがある。ブラジルを代表するギタリストとして高い評価を得るだけの技量は十分だ。あとはキャリアを積むだけである。

アントニオ・カルロス・ジョビンやジルベルト・ジルなどブラジルを代表するアーティストへのオマージュはもちろんのこと、父親のバーデン・パウエルの楽曲も演奏されている。ソロギターありバンド演奏ありと非常にバラエティーに富んだ内容となっており、マルセル・パウエルの世界を十分に楽しめる1枚だ。それにしても「情熱のギター」とは上手い邦題をつけたものだ。

熱情のギター

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KAIMONO BOOGIE 酒井俊 ~「卓越した声の演技力」ジャンルを超えるジャズボーカリスト酒井俊

KAIMONO BOOGIE
酒井俊


ご存知の方はご存知であるジャズボーカリストの酒井俊。結婚や出産など人生の一大イベントを機に一時期シーンから遠ざかっていた彼女の「再デビュー盤」である。彼女はオリジナリティーあふれる力強い歌声が特徴で、それがジャズであるかジャズでないかという問題などぶっ飛んでしまうくらいのパワフルさだ。

冒頭のタイトル曲である昭和歌謡「買い物ブギ」は楽曲が深まるにつれ演奏とともにヒートアップする彼女の歌いっぷりが楽しい。2曲目の「You Are My Sunshine」では英語の歌詞の中にどこから引っ張ってきたかわからないのだが自作の歌詞を挟み込む。それが妙に自然でそれがオリジナルのような錯覚を覚えるほどである。「ワタシノモウジューガリ」は伝説の落語家桂枝雀の名演「地獄八景亡者の戯」を聴いてるような楽しさだ。

もちろん楽しいだけではなく「When I fall in love」のようなバラードでは、真っ直ぐで素直に飛ぶ歌声を聴くことができる。卓越した声の演技力があってこその歌の力である。歌に寄り添う名手片山広明のテナーもすばらしい。

ジャズというジャンルをゆうに飛び越しボーダレスに活動する彼女らしいユーモアあふれる1枚で、この人のライブは相当楽しいのだろう。ちなみにドラマーのつの犬はつのだ☆ひろの甥っ子である。

KAIMONO BOOGIE

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Voyage 安ヵ川 大樹 ~ベース1本で弾ききる見事なソロの世界

Voyage
安ヵ川 大樹


本作はジャズベースのマエストロ安ヵ川大樹(やすかがわ だいき)氏のソロ作品。ソロといってもピアノなどの伴奏はつけずにイタリアの名器カザリーニ1本でさまざまなスタンダード曲などを弾ききる。

ジャズ特有の力強いピチカートだけでなく、アルコによるオリジナル曲も美しい。上から下まで指板を余すことなく駆使して繰り出される音の洪水は「ウッドベース1本のみ」で収録していることを忘れてしまうほど流麗で逞しく美しい。特にデューク・エリントンの「In A Sentimental Mood」は楽曲の良さと氏のプレイの質の高さの賜物である。

録音のクオリティーも「さすがは名器カザリーニ」とうならざるを得ない。厚みのある木の音色は楽器のつくりのよさが、息使いをとらえる音の立ち上がりの速さは良質なエボニー指板材の厚みが伝わってくる。氏のベースに対峙する真剣な空気感もしっかりとらえられている。

Voyage

■Trios 安ヵ川大樹
こちらは時期を同じくして収録された氏のピアノトリオ。
いうまでもなくこちらもすばらしい。

Trios

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Midnight Mood マーク・マーフィー ~通好みな技巧派シンガーの名盤

Midnight Mood
マーク・マーフィー


本作は技巧派ジャズ歌手マーク・マーフィーの代表作でひときわ人気の高い作品である。技巧派というとメル・トーメのような白人歌手を思い浮かべるのだが彼は黒人である。黒人特有のコテコテさや妙なクセはあまりなくニュートラルなカラーが聴きやすい声だ。

深い低音に支えられた良く伸びる歌声は自由自在に伸び縮みするゴムのようである。またビブラートのコントロールも自由自在でても品があり、その有無や深さや幅などとバリエーションも多彩である。わざと声をひっくり返すところがあるのだが、低い音域から高い音域までどの音域でも音が詰まることなく声区の切り替えが非常に滑らかでテクニックに破綻がない。

そのテクニックの高さから彼のことを手本とする隠れフォロワーも歌手の中に多数いる。いわゆる「ミュージシャンズ・ミュージシャン」という位置づけでもある。現在は時代が一巡りしてクラブジャズシーンにて人気がでているという。

Midnight Mood

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YOUNG AT HEART トニー・ウイリアムス ~歴史的ドラマーの遺作にして名盤

YOUNG AT HEART
トニー・ウイリアムス


トニー・ウイリアムスというと「暴れん坊ドラム」というイメージがある。確かにそのとおりで一聴するだけでは彼の「野性味」のみが際立って聴こえる。しかしよーく聴いて考えてみるとその躍動感あふれるスタイルは、思いのままにドラムを操つり一瞬のひらめきを音にできるということだ。これはありえないほど彼の演奏技術が高いからなしえることである。その証拠にPPPの時の太鼓の鳴らし方やシンバルワークが相当繊細であることがわかる。

プレスロールのクレッシェンドのつけ方にはホントに背筋が凍るくらいすばらしい。そして彼の代名詞である「フェラーリロール」と名づけられたフェラーリのエンジン音のような高速シングルストロークなども非常にすばらしい。

手技に劣らず足技もすごい。右足のバスドラムの高速連打もPPPからFFFまでと自由自在にダイナミクスを操る。そして左足のハイハットシンバルの暴れさせ方(有名なのはぐゎしゃんぐゎしゃんとシンバルを躍らせながらのペダル操作)や鳴らし方に相当のバリエーションがあり、想像以上に音色がななり多彩なのも改めて驚かされる。もうほんとに「なんということをしてくれたんや!」というレベルである。

もちろんマリュグル・ミラーの繊細かつパワフルなピアノもアイラ・コールマンの堅実なベースも説得力抜群で、さすがトニーが選んだメンバーだ。マイルス時代から「音楽のためならドラムはプレイしないこともある」という言葉よろしく、ラストのマリュグル・ミラーのピアノソロがドラマーのアルバムなのに違和感なく映えている。これも本作の録音の質の高さがあってこそ鮮明になる部分である。

本作はトニーファンならば増すとアイテムである。本作が吹き込まれた5ヵ月後の1997年2月23日、心臓発作により帰らぬ人となり本作が彼の遺作となってしまったからだ。奇しくも師とあおいだアラン・ドーソンの命日(1996年2月23日)のちょうど1年後なのでただならぬ因縁を感じてしまうのである。

ヤング・アット・ハート

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おとぎ話/忘れられた調べ~メトネル作品集 メジューエワ(P) ~なんだこの美しさは!!

おとぎ話/忘れられた調べ~メトネル作品集
メジューエワ(P)


本作はロシア出身で日本在住のロシア人ピアニストであるメジューエワが同郷のメトネルの作品を収録したものである。メトネルがロシアに伝わるおとぎ話を楽曲にしたものだ。

2曲目が至極の美しさ。なぜここまで楽器をコントロールできるのかと舌を巻いてしまった。そしてこの楽器のコントロールをここまで明確に記録できるのかとびっくりである。それはメジューエワのピアノを操る意識までも忠実に録音しているというのは大げさであろうか。

ピアノのハンマーのフェルトがピーンと正しく調律されたピアノ線をコツリとたたく瞬間、響いたかと思うとそこへダンパーペダルのフェルトが震える弦をミュートする。その一連のモーションがビジュアルとして眼前に浮かぶくらい質の高い録音である。ピアノの調律の質も恐ろしく高い。

これだけのクオリティーの作品はプレイヤーや作曲者だけの力ではなく、本作に携わるすべてのスタッフが一丸となったからこそ成し得たチームワークの賜物である。これだけのチームワークを生み出すメジューエワの人柄があってのものではないかと勝手に推測してしまう。

明快な美しさは初心者に、絶妙な楽器のコントロールは耳の肥えた上級者に、すべての人に安心してオススメできる作品である。しかもうれしいことに現在廉価版がリリースされているので、ここは「わんわんわんにだまされた」と思って手に入れていただきたい1枚だ。

おとぎ話/忘れられた調べ~メトネル作品集

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ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調 ほか フランソワ(p)~ラヴェルピアノ協奏曲の決定版

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、左手のためのピアノ協奏曲
フランソワ・サンソン(p) クリュイタンス(cond)パリ音楽院管弦楽団


フランソワのピアノは評価が真っ二つにわかれるとよく言われている。わんわんわん的にはフランソワのピアノは解釈が行過ぎてどこか酔っ払ったような演奏をするからあまり好きではない。数あるラヴェルのピアノ作品集を集めれば必ずフランソワのピアノ演奏にめぐり合うのだが、1回聴いただけで「あぁこれはウマがあわない」と判断。それ以来一度もディスクを触っていないのである。フランソワのピアノに対してやはり同じようなことを感じる人もおりブックオフの500円コーナー(いわゆるエサバコ)にて遭遇する確率が比較的高い。

ただフランソワはオーケストラと一緒だと話が180度変わりこれが非常によいのだ。本作はラヴェル協奏曲ものの希代の名演・不屈の名盤として非常に名高い傑作である。指揮はフランス音楽をさせたら右に出るものはいないアンドレ・クリュイタンス。オケはパリ音楽院管弦楽団こといわゆるパリ管。非常に木管楽器が華やかで、打楽器のクオリティーも非常に高いオケでもある。クリュイタンスとパリ管この組み合わせは最強である。そこへ弾き崩し名人のフランソワが加わるととんでもないドラマになるのである。

ピアノ協奏曲 ト長調も非常にすばらしい(第二楽章の美しいったらありゃしないこと)のだが、とりわけ左手のためのピアノ協奏曲が圧巻である。一度映像を見たことがあるのだがフランソワは右手をピアノから下ろし左手1本で演奏しているのだ。低い音から高い音まで椅子から落ちそうになりながらも左手1本で弾ききるのである。

聞くところによるとこれらの協奏曲はラヴェル晩年の作品だという。ラヴェルは晩年記憶障害だったというが音楽を聴く限りそのようなエピソードがあったことが信じられない。ちなみにピアノ協奏曲 ト長調第三楽章はゴジラの音楽の元ネタとしても有名である。

ラヴェル:ピアノ協奏曲、他

■Complete Works for Solo Piano
やっぱりラヴェルのピアノ作品を語るとこれが出てきてしまった。誰がなんと言おうともラヴェルのピアノ作品集ではこれが最高傑作である!

Complete Works for Solo Piano

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Live in Tokyo ステファン・グラッペリ ~円熟のステージパフォーマンス

Live in Tokyo
ステファン・グラッペリ


ジャズバイオリンの第一人者ステファン・グラッペリが御年82歳のとき1990年東京にて行ったライブアルバムである。ジャズバイオリンはやはりあの踊るようなメロディーを奏でるこの人でなければという感がある。卓越したテクニックによって奏でられるバイオリンは歌以上に歌う。そして音楽的に小難しいところはあまりなく純粋なエンターテイメントとしていつ聴いてもリラックスできる(演奏するとなると目茶目茶大変なのだが‥)。

演奏するバンドフォーマットもギターとベースだ。ジャンゴ・ラインハルト直系の左利きのギタリスト、マーク・フォセットもスリリングかつ上品なコードワークで御大のスイングをささえる。空間系エフェクターのコーラスやフェイザーを時々うっすら使うところがとてもセンスが良くオシャレだ。

スティービー・ワンダーの「You Are Sunshine Of My Life」のカバーをやったり、グラッペリが1曲ソロピアノをやったり(これが滅法うまい!)ととにかく楽しい。録音状態もすばらしくバイオリンの箱が鳴っている感じがよく録れている。本作をステファン・グラッペリのベストアルバムとする人も多く、紛れもなくジャズバイオリンの大名盤である。

悲しいことに本作も入手が難しい1枚となってしまった。見つけたら有無を言わさずすぐに確保すべし。

Live in Tokyo

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HOT MENU スターダスト・レビュー ~スタレビ真のベスト盤

HOT MENU
スターダスト・レビュー


わんわんわんが所有する数少ないJPOPのアーティストのうちの1枚。ベスト盤が乱発され気味なスタレビであるが本作はアタリ中のアタリである。名バラードの「いのちのこたえ」や「木蘭の涙」や名曲「夢伝説」、「今夜だけきっと」、「NO!NO!Lucky Lady」「シュガーはお年頃」、「トワイライト・アヴェニュー」、「1%の物語」、「愛してるの続き」‥。

ここでわんわんわんが多くを語るよりもぜひ曲目リストをご参照いただきたい。あの名曲がてんこ盛りである。

曲目リスト
ディスク:1
1. いのちのこたえ
2. 木蘭の涙(acoustic)
3. シュガーはお年頃(acoustic)
4. AVERAGE YELLOW BAND
5. Find My Way
6. 本日のスープ(大泉洋 with Stardust Revue)
7. デェラ・シエラ・ム(CHAGE&ASKA/Stardust Revue)
8. Heaven
9. My Love
10. めぐり逢えてよかった(LIVE VERSION)
11. と・つ・ぜ・ん Fall In Love
12. Goodtimes&Badtimes
13. 今夜だけきっと

ディスク:2
1. 夢伝説
2. ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス
3. ジャスミン
4. NO!NO!Lucky Lady
5. 愛してるの続き
6. ふたり
7. もっとそばに来て
8. クレイジー・ラブ
9. Goin’ Back To 1981
10. 追憶
11. トワイライト・アヴェニュー
12. 1%の物語
13. おらが鎮守の村祭り(Stardust Revue with 添田啓二・岡崎昌幸)

HOT MENU

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イン・コンサート チック・コリア&ゲイリー・バートン ~究極に透き通った音楽

イン・コンサート
チック・コリア&ゲイリー・バートン

本作はジャズピアニストのチック・コリアとビブラフォン奏者のゲイリー・バートンがスイスのチューリッヒにて行ったライブ録音の名盤である。ありふれた表現であるが「透明感」という言葉が本当によく似合う。この世界を未体験の人は百聞は一聴に如かず、ぜひ手に入れて聴いていただきたい1枚だ。

1曲目の「セニョール・マウス」から吸い込まれるような白熱したインタープレイに始まり一気に聴き終わってしまうほどの内容のすばらしさである。「クリスタルサイレンス」はリターン・トー・フォーエバー時代のものとは一味違い、チックのピアノとゲイリー・バートンのビブラフォンが繊細で透き通った静寂を見事に表現している。ゲイリー・バートンのタッチと音色コントロールは極上の域である。

ジャズ界きっての「美ジャケ」の一枚として有名でもある。ジャケットに映し出されたチューリッヒの街並みが非常に美しい。本作の内容をビジュアルに置き換えるとまさにこのような世界になるのだ。

イン・コンサート [SHM-CD]

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Mercy Mercy Mercy キャノンボール・アダレイ ~白熱するライブアルバムの名盤

Mercy Mercy Mercy
キャノンボール・アダレイ

これほど血の騒ぐライブアルバムはそうそうない。1曲目からキメキメの迫力でこのライブ収録現場が相当な盛り上がりだったことがわかる1枚だ。ビバップとモーダルジャズとファンキージャズとジャズロックのおいしいところが全部合わさっており、本作の音楽性の幅広さはまさに「捨て曲なし」の大名盤である。

いまやいろんなところでカバーされている名曲「Mercy Mercy Mercy」の決定盤としても有名である。後のウエザーリポートを結成することとなったジョー・ザビヌルの作曲で、彼本人がファンキーなタッチでエレキピアノを弾いている。このときの観客の盛り上がり方がハンパないのである。

兄のキャノンボールのアルトプレイは艶のある音色でブルージーでファンキー。それに負けず弟のナット・アダレイもコルネットのプレイがさえている。それにしてもキャノンボール・アダレイのMCはねちっこいしゃべり方がもとってもファンキーだ。

Mercy Mercy Mercy

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Gling Glo ビョーク ~ジャズを歌うビョーク

Gling Glo
ビョーク


本作はご存知のかたはご存知であろう。アイスランドのシンガーソングライターであるビュークがジャズを歌った珍しい1枚だ。彼女の父親はジャズピアニストでビョークがジャズを歌った父と娘の競演である。

一癖もふた癖もある彼女だから当然のごとくジャズをうたうものの、やはり彼女が歌うとジャズは普通のジャズにはおさるはずもなくなるのである。父親のピアノトリオをバックにビョークはのびのびと子供のように音で遊んだり叫んだりつぶやいたりと、瞬く間にジャンルの壁をぶち壊して彼女独特の無邪気なビョークサウンドとなっているのが面白い。これが滅法とても楽しそうで、この音楽がジャズであるかそうでないのかはもはやどうでもよいことになってしまうのである。英語ではなくアイスランド語で歌っているというのも大きなキーポイントである。

一昔前ふた昔前は本気で出会おうと思って探さなければまず出会うことのない1枚なのだが、現在はAmazonという便利なものがあるので気軽に出会えるようになった1枚である。

Gling Glo

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Explorations ビル・エヴァンス ~ポール・モチアンのドラムが大穴的にすばらしい名盤

Explorations
ビル・エヴァンス

ジャズのピアノトリオ名盤というと本作をフェイバリットに挙げる人も多い。これほど後のジャズピアノに影響を与えたピアノスタイルはないだろう。彼のピアノにはラヴェルやドビュッシーなどの影響を強く感じさせるクラシックの素養がある。かかとを踏み鳴らしてノリよく奏でるスタイルではなく、グールドのように鍵盤の上に覆いかぶさるような姿勢で耽美的なハーモニーを響かせるのである。美しく生々しいピアノタッチとハーモニー感覚がすばらしい。

ビル・エバンス的ピアノトリオの特徴としてはピアノ・ベース・ドラムのインタープレイというのがよくいわれている。各楽器が対等な関係にあり、それぞれがそれぞれのプレイに反応して対話しながら楽曲にそれぞれの色を乗せてゆくことである。特に耽美的なビル・エバンスのピアノにからむスコット・ラファロのメロディアスなベースラインはここで語るべくもない。収録曲も彼が生涯をかけて演奏し続けるNardisやIsraelなど名曲・名演がそろっている

エバンスとラッファロのインタープレイにとかく話題が集まりがちなのだが、ドラムのポール・モチアンのブラッシュワークがすばらしい。エバンス特有のはね方(実は思った以上にリズムがはねていないのである)にぴったりはまるようなブラシの動かし方はもちろんすばらしいのだが、シンバルやタムをヒットするときの音色が桁外れにすばらしい。タムをブラシでたたく音に芯があり、シンバルにいたってはブラシの先っぽがピシッとそろってヒットするため音がばらけることなくクリアなビートを出せるのである。ドラムをたたいたことがある人ならばわかるであろうが、この音色を出すのがめっぽう難しいのである。

Explorations

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