わんわんわんの名盤探索

わんわんわんがオススメする名盤

The Melody At Night, With You キース・ジャレット ~涙があふれるほどの美しいメロディーの便り

The Melody At Night, With You
キース・ジャレット


本作は慢性疲労症候群という難病のため活動を休止していたキース・ジャレットのピアノソロでの復帰作。キースはイタリアでのコンサート中に突然激しい疲労に襲われ、そのままステージを去らなければならない状況だったという。この難病のため一時期はピアノを弾くことや外出はおろか人と会話する体力さえ無く、丸2年間は孤独な闘病生活を送ったという。復帰作となる本作にてキースは久々にピアノの前に座ることができたという。

ここでキースがチョイスしたのは全曲がバラードでほとんどがジャズのスタンダードチューンだ。キースは曲のメロディーにオブリガードなどの装飾らしい装飾を施しはせず、愚直なまで素直な演奏をしている。メロディーに対する優しさと再び演奏できたことの喜びに満ちた演奏で、ただただひたすらにスタンダード曲のメロディーのよさを、スタンダード曲がスタンダードに成り得た理由をわれわれに伝えてくれているのである。

ピアノのハンマーの先端につけられたフェルトがピーンと張られたピアノ線を丁寧にたたく瞬間をゆっくりとかみしめながら奏でられるメロディー。キースはこの作品を聴く全ての人の心へ大切にメロディーを奏でる姿を発信する。それはわれわれに向けられた「自分はまたピアノが弾けるようになりました」という便りでもあるのだ。

曲目リスト
1. I Loves You Porgy
2. I Got It Bad And That Ain't Good
3. Don't Ever Leave Me
4. Someone To Watch Over Me
5. My Wild Irish Rose
6. Blame It On My Youth/Meditation
7. Something To Remember You By
8. Be My Love
9. Shenandoah
10. I'm Through With Love

The Melody At Night, With You

■ブラームス:間奏曲集/4つのバラードより/2つのラプソディ
 ピアノ:グレン・グールド
キースの「The Melody At Night, With You」を聴いて真っ先に連想したのが、鬼才グレン・グールドの演奏するブラームスであった。
甘く深遠なピアノタッチが楽曲のメロディーの美しさを120%引き出しているところ、楽曲にかけたピアニストの愛がこの2枚のイメージをつないでくれた。
かすかに聞こえる唸り声もキースとの共通点だ。

ブラームス:間奏曲集/4つのバラードより/2つのラプソディ
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Reggatta De Blanc ザ・ポリス ~今も色あせぬ次世代パンクロック

Reggatta De Blanc
ザ・ポリス


本作はスティング(B)やアンディ・サマーズ(Gt)、スチュアート・コープランド(Dr)の3人からなるロックバンド「ザ・ポリス」の2枚目である。荒々しくもどこか知的なパンクサウンドが特徴である1枚目の「Outlandos D'Amour」よりも他の音楽の要素をふんだんに取り入れて音楽的に多様化してる。

ザ・ポリスのサウンドはレゲエとパンクロックの融合というふうに語られることが多い。パンクロックのスピード感にビートのパルスが複数存在するレゲエを取り込むことによって、パンクサウンドがよりテクニカルで知的なものとして洗練しバンドサウンドをよりポップで多彩なものへとした。一つのスタイルに留まることを良しとせず、どこまでも貪欲な新しいものを開拓する姿勢が彼ららしいところだ。

それにしても歌いながらベースを弾く(しかもフレットレス)スティングは相当器用な人だと思う。

Reggatta De Blanc (Dig)

■Outlandos D'Amour
ザ・ポリスの1枚目。より荒々しくパンキッシュなサウンドなのだが、どこかポリスらしい知的な部分がある。

Outlandos D'Amour (Dig)

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Open Sesame フレディ・ハバード ~なんとこれが彼のデビュー作という驚き。

Open Sesame
フレディ・ハバード


フレディ・ハバードの魅力を端的に語るとすれば「歯切れのよさ、音色の豊かさ」ではないだろうか。タンギングの正確さからくる絶妙な音の伸ばし方と切り方、そして鋭くブリリアントな音から深く沈みこむ音まで幅広い音色をだすテクニックと表現力。このニュアンスたっぷりの歌いまわしによって繰り出されるフレーズのスピード感が半端ない。

しかも驚くべきことといえば、なんと本作がフレディ・ハバードのデビュー作であるというのである。デビュー作にしてもはや名盤の仲間入りをしたのである。ジャケットに写った堂々とした姿のこの若者がトランペット界の話題を颯爽とさらっていったというのもうなづける話である。

サポートするメンバーはフレディーと同様に駆け出しであったマッコイ・タイナー(P)と愛すべきティナ・ブルックス(Ts)。本作は薬物による肝臓障害にて42歳にて早世したティナの数少ない参加作品でもある。猛烈にスイングするベースのサム・ジョーンズと、バンドアンサンブルをテクニカルで気の利いたプッシュをするドラマーのクリフォード・ジャービスも秀逸。

Open Sesame

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Talking Book スティービー・ワンダー ~聴いたことがなければこの歴史的大名盤を直ちに聴くべし!

Talking Book
スティービー・ワンダー


本作は彼の得意とするクロマチックハーモニカ、シンセサイザーやシンセベース、ピアノやクラビネットの鍵盤楽器はもちろんのこと、ドラムまで(これが本当に説得力のあるドラミングだ)スティービー・ワンダーがほとんどの楽器を自分で演奏してプロデュースし、「黄金の3部作」と呼ばれる大傑作を立て続けにこの世に放ったその第1作目のアルバムである。

1曲目の超有名曲You Are the Sunshine of My Life からはじまり、ジェフ・ベックへ送った曲のセルフカバーSuperstiotion、最終曲のI Believeまで、大傑作の評価にふさわしく全く「捨て曲」がないのである。気がつくとアルバムが1枚聴き終わっている、しかもどの曲も取りこぼすことなく耳に入ってくるのである。

類まれなソングライティングの能力、そしてその楽曲を演奏・表現しきるだけの技量。セールス的にも大成功を収めた歴史的名盤である。もし本作を聴いたことが無いのならば、それは大問題である!

トーキング・ブック

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キック・オフ 丸山繁雄,酔狂座オーケストラ ~興奮冷めやらぬ超お祭り状態のライブ

キック・オフ
丸山繁雄,酔狂座オーケストラ


本作はボーカリスト丸山繁雄が当時の若手といわれる人たちをビッグバンドのメンバーに迎えたライブアルバムである。そのバンドは「酔狂座オーケストラ」とよばれ、今からするととても豪華なメンツがそろっている。アルバムの冒頭でジャズ評論家の油井正一氏がビリー・エクスタインのバンドを例えとして引き合いに出しているほどである。

エリック宮城(Tp)、原朋直(Tp)、松島啓之(Tp)…村田陽一(Tb)…大森明(AS)、望月英明(B)、大坂昌彦(Dr)などなど、ここで採り上げていてはきりが無いほどだ。だれもがバンドリーダーとなりえる技量の持ち主で、このメンツはまさに夢の共演である。「キューッ」と鳴るエリック宮城のハイノートなトランペットはやっぱりバンドのサウンドが締まる。

丸山繁雄自身のアレンジでのオレオがとてもスリリング、丸山本人もスキャットで参戦し「超お祭り状態」だ。ストレート・ノー・チェイサーでの丸山のスキャットによるロングソロは、バックバンドのメンバーも息をのんでみまもるほどで確かな技術とエンターテイメント根性を感じる。

曲目リスト
1. キック・オフ
2. タックル・ダウン
3. ユー・ユー
4. ノルウェーの森
5. オレオ
6. ネフェルティティ
7. ストレート・ノー・チェイサー

キック・オフ

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北の詩情~シベリウス:珠玉のピアノ小品集 ピアノ:ビータサロ ~北欧の巨人シベリウスのなんとも可憐なピアノ小作品集

北の詩情~シベリウス:珠玉のピアノ小品集
ピアノ:ビータサロ


どうしたんだろう、フィンランドは一度も訪問したことが無いのに情景が目の前に浮かぶ。胸のすくような青い空、力強く浮かぶ白い雲、豊かな針葉樹の樹々たち、広い湖に移りこむその姿。北国の中に息づく小さな生命。森の妖精を生んだ国フィンランド。

本作はフィンランドを代表する作曲家シベリウスのピアノ作品を同じフィンランド出身のピアニストであるビータサロが演奏したもの。シベリウスというと壮大で緊張感あふれる交響曲というイメージがあるのだが、本作はシベリウスのビジュアルからは想像できないくらいなんとも素直で愛らしいピアノ作品集だ。

シーンと張り詰めた冷たい空気が無音状態のキャンバスとなり、短い北国の春を待ち焦がれたように小さい花があちらこちらで自らの生命を証明するようにポツリポツリと顔を出す。本作に収録されている曲名も小さな花の名前が多く、その小さくも力強い可憐な花のようなメロディーは名曲ぞろいなのである。

いつまでも聴いていたい一生付き合える本作は素朴で愛らしくも美しい「北欧の美メロ」ファンは必聴の一枚である。

北の詩情~シベリウス:珠玉のピアノ小品集

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Strokin' リチャード・ティー ~このAトレインは超重量級!

Strokin'
リチャード・ティー


本作は伝説のフュージョングループであるスタッフの中心メンバーであるリチャード・ティー(P.Key)のアルバム。スタッフはもともとニューヨークの売れっ子スタジオミュージシャンを集めてつくったのであるから、その人脈で作られた本作のサウンドも悪いはずが無い。

リチャード・ティーの特徴であるピアノのスタイルはジャズ、ソウル、R&Bやゴスペルなどの黒人音楽全般が下地にある。決して超絶技巧をひけらかすのではなく、アンサンブルとグルーブ重視のうねるサウンドだ。彼が弾くとバンド全体がうねるのである。本作でもファンキーでシャープなリズムはこの手の音楽の手本のようだ。スティーブ・ガッド(Dr)とチャック・レイニー(B)のコンビネーションもバッチリだ。

なんと言っても本作のハイライトはリチャード・ティーとスティーブ・ガッドがデュオで演奏するAトレインだ。リチャード・ティーの鍵盤によるゴツゴツしたパワフルな低音とスティーブ・ガッドのメカニカルでどっしり重いリズムは、まるで重い鉄の塊である機関車が広い大地を駆け巡るようだ。この1曲だけでも何回聴いたことだろう。

本作は手に入れるのが非常に困難な1枚となってしまったのが全く残念でならない。中古市場で見かけたなら必ず「買いの1枚」の名盤である。

曲目リスト
1. ファースト・ラヴ
2. エヴリ・デイ
3. ストローキン
4. アイ・ウォンテッド・イット・トゥー
5. ヴァージニア・サンデイ
6. 神の子供達
7. A列車で行こう

ストローキン(K2HD/紙ジャケット仕様)

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We Sing Wayne Shorter ジョーン・ディアズ ~Infant Eyesは希代の名カバー。

We Sing Wayne Shorter
ジョーン・ディアズ


ビル・エバンス派として知られるスペイン生まれのピアニスト、ジョーン・ディアズ。彼がブルーノート時代やウエザーリポート時代など幅広いショーターのキャリアの楽曲をカバーした意欲作。本作の面白いところはアルバムのタイトルどおりメロディーがボーカルということだ。

ショーターの楽曲はひとくせふた癖もある。ショーターの楽曲をカバーをするとなると彼のサックスの音色の強さが楽曲の一部となっているために、結局ショーターの楽曲はショーター自身が演奏しなければモノマネに終結してしまいがちの傾向がある。あの独特の悪魔的で甘く美しく色鮮やかで水墨画のような世界はオリジナルの印象が強すぎるため、新しさを見出すのが難しい題材であった。

しかし本作ではメロディーをつかさどるのが女性。女性独特の声の柔らかさがショーターの楽曲に新しい世界観をもたらしている。メロディーに詩をあてて歌うのは、ディアズ自身がその実力にほれ込んだという若手女性ボーカリストである。音尻を非常に大事にあつかうノンビブラート唱法はサックスのサブトーンのようにゆらりとした存在感がある。

ウエザーリポート時代のPalladiumをはじめショーターの楽曲ファンにはたまらない選曲だ。極めつけは3曲目のInfant Eyes。ショーターの作品でも稀代の美しさをまとっている楽曲なのだが、ここではオリジナルを超えているかもしれない。

曲目リスト
01. Pinocchio
02. Palladium
03. Infant Eyes
04. Beauty and the Beast
05. Broken Bossa
06. Ana Maria
07. The three Marias
08. Diana
09. Nefertiti

We Sing Wayne Shorter

■Speak No Evil ウエイン・ショーター
いわずと知れたショーターの名盤。独特の世界観が黒く美しい。
本作に希代の名バラードInfant Eyesが収録されている。
アルバムのジャケット写真もGood!

Speak No Evil

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In Dixieland ジョージ・シアリング ~頭の中をカラにして楽しめる1枚

In Dixieland
ジョージ・シアリング


「出合ったときが勝負の時、このアルバムを二度と聴けなくなっても残念に思うだろうか。」これがわんわんわんのCDを物色するときの心構えである。新しい音を求めてアンテナを高く伸ばして物色していると犬も歩けば棒にあたる、時々古いものや古いスタイルのものにヒットするのである。

本作は1989年にリリースされたジョージシアリングがディキシーランドジャズに取り組んだ作品だ。Jazz Me Bluesなどのディキシーランドジャズのスタンダードナンバーはもちろんのこと、Take Fiveや自身の作品であるLullaby of Birdland、ボサノバのDesafinadoなどの非ディキシー楽曲までもディキシーアレンジで聴けるのが面白い。

シアリング独特のスタッカート気味なピアノタッチがコロコロと心地よい。ドローンとした泥臭い管楽器も思いのほか様々な楽曲にあうものだ。このネバネバした歌い方のクラリネットやトランペットは本当に頭の中をカラにして楽しめる。悲しいかな本作はどうやら廃盤になってしまったようで、本当に「出合ったときが勝負の時」の1枚になってしまったようだ。

曲目リスト
1 Clap Your Hands
2 Mighty Like the Bues
3 Truckin'
4 Fascinating Rhythm
5 Destination Moon
6 New Orleans
7 Soon
8 Take Five
9 Lullaby of Birdland
10 Jazz Me Blues
11 Blue Monk
12 Desafinado
13 Honeysuckle Rose
14 Alice in Dixieland

In Dixieland

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ライト・アズ・ア・フェザー アジムス ~「もうすぐ、時計の針は12時を…」

ライト・アズ・ア・フェザー
アジムス


「もうすぐ、時計の針は12時を回ろうとしています。今日と明日が出会う時、クロスオーバーイレブン……」

なんとスペーシーで分厚いシンセブラスのハーモニー、そしてメロウなエレキピアノ。ファンキーなドラムとスタンリー・クラークを彷彿させるような良く歌うベース。4曲目のフライ・オーヴァー・ザ・ホライズンで冒頭のフレーズが脳内再生される。

たとえそれが真昼間であっても気分は日付変更線の上。明日へ向けて心と体をリセットが始まるのである。この番組でかかった「これは!」と思うような音楽をカセットテープでエアチェックをするのが楽しみであった。

彼らはブラジルのジャズファンクグループである。クロスオーバーイレブンのテーマがあまりにも有名すぎるためメローな楽曲が持ち味かと思われがちである。しかしサンバを基調としたスパイシーでリズミックな音楽、当時はやったディスコとの融合などなどバリエーションが豊かである。時折はさみこまれるシンセドラムが時代を感じる。

ライト・アズ・ア・フェザー

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ラヴェル:夜のガスパール ピアノ:アルゲリッチ ~体育会系のラヴェル

ラヴェル:夜のガスパール
ピアノ:アルゲリッチ


本作は歴史的名盤という声が高い。だがアルゲリッチはかなり個性が強いので相当好みや評価が分かれる。好みの問題が絡んでくると世間的な定義と各々が感じる印象はしばしば違うものだという良い事例だ。

まず彼女の特徴としてあげられるのは音色の鋭さだ。打鍵スピードが相当速く一瞬にしてハンマーが弦を叩くのだろうか音色がとにかくきらびやかである。その煌びやかな音色はボリューム・ダイナミクスの大小にかかわらず一貫しており、どんなに細かいフレーズであろうとも強い光源のような音色は曇ることが無い。相当のテクニシャンであるのは間違いない。

緩急の激しさも彼女の特徴だ。たった1曲の楽曲であっても光を映しこみ静かに漂う水面のような表現から、空高く噴霧を巻き上げるナイアガラの瀑布のような表現まで緩急をつけて楽曲を演奏設計するので、かなりのドラマティックな展開が繰り広げられるのである。しかもあの音色なので感情表現がマックスのときは爆発系なのである。

彼女は演奏の個性が強烈であるため、どんな音楽でも「アルゲリッチミュージック」になるのだ。ラヴェルの楽曲とアルゲリッチのプレイスタイルがマッチするかどうかという問題もあるのだが、そこは弾き手が100人いたら演奏も100通りあってしかるべきなのだ。人生に正解が無いように音楽にも正解は無いのである。

ラヴェル:夜のガスパール

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Us Three ホレス・パーラン ~ベースを聴くアルバムの筆頭格

Us Three
ホレス・パーラン


これも名盤本をめくると必ず登場する1枚だ。1曲目からベースがグイグイとバンドを前へ前へと引っ張ってピアニストの作品なのに間違いなくベースが主役になっている。そう本作はピアノを聴くというよりもベースを聴くアルバムなのである。

サポートするのは轟音の名手ジョージ・タッカーだ。分厚いエボニー指板と単板ボディーでフラットバックのよく鳴るベースをブリッジ寄りで弾いているのだろうか、彼のベースサウンドは音の立ち上がりがはやく野太い。倍音豊かにブンブン鳴るので音に凄みがある。これは弦を指板に対し平行方向に弾いてると思われる。アル・ヘアウッドのシュッシュッというブラシュワークがタッカのベースに付かず離れずのタイミングでとてもスリリング。

タッカーのベースの影響もあるのだろうか、ホレス・パーランのピアノもリズミックでブルージー。ベース・ドラム・ピアノが三位一体で作り上げる音の塊が爽快である。

アス・スリー

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Breezin' ジョージ・ベンソン ~ジャンルの壁を越えた名作

Breezin'
ジョージ・ベンソン


ジョージ・ベンソンはウエス・モンゴメリーやチャーリー・クリスチャンを踏襲した伝統的なプレイスタイルで広く知られていたが、本作をもって彼のもう一つの顔「ブラコン(ブラック・コンテンポラリー・ミュージック)」が開花した作品である。本作はミリオンセラーとなりグラミー賞を獲得し、ベンソンは一気にスターダムへ登っていったのである。

ベンソンは歌手としても十分やってゆけるくらいの実力はあったのだが、どちらかといえばボーカルは副業的なポジションというのはぬぐえなかった。しかし本作のマスカレードにおいては歌が主役となりうる存在感となりベンソン=ボーカリストという図式が確立した。スキャットとギターの超絶ユニゾンも披露しており、ベンソンが「自分が思ったとおりの音が出せる人」というのがイヤでも解る。

ギターも相変わらず超絶だ。精密機械のような正確無比な高速ピッキング、センスあふれる優雅でブルージーなフレーズに加え、流れるようなバップフレージングとウエス・モンゴメリーばりのオクターブ奏法・コードストローク奏法などなどアイデアが途切れることが無い。

とあるインタビューで彼が言うには「自分が弾くフレーズ(和音などを除く)は全部スキャットで歌えるフレーズ」とのことで歌えないフレーズは弾かない、弾こうとも思わないそうだ。つまりギターが奏でる旋律はベンソンの歌を追いかけているのである。出したい音が非常に明確なため彼のギターは意味の無い音・無駄な音が無いのでプレイスタイルは研究材料としても優れている。ベンソンスタイルのフォロワー達がジャンルを超えて多くいるのはまったく納得のゆく話だ。

サポートメンバーも充実している。ハービー・メイソンのタイトなドラムがリズムを引き締め、クラウス・オーガマンの優雅な極上ストリングがサウンドに空色の空間を添える。ジャズだけでなくポップスなどジャンルの壁を越え広く長く愛される名盤である。



Breezin'

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Jaco Pastorius ジャコ・パストリアス ~人生をものすごく太く短く使い果たした鬼才

Jaco Pastorius
ジャコ・パストリアス

ご存知の諸兄も多いかと思うのだがエレキベースの革命児ジャコ・パストリアスである。本来ならば伴奏楽器であるエレキベースの役割を広げられるところまで広げたのである。というか、鬼才がたまたま手にした楽器がエレキベースだったというほうが適切だろう。

チャーリー・パーカーの難曲Donna Leeをコンガの伴奏でエレキベース1本でテーマ、ソロを余裕綽々と弾きこなす。最後のほうに見られる転調のアイデアはさすがである。続いてサム&デイブがボーカルを務めるファンキーな曲。R&Bスタイルにおいて彼の音のツブ立ち・音の長さ・アーティキュレーションはすばらしく、聴いているだけでカラダが動いてしまう。

ハーモニクスを用いた美しい曲はそのアイデアに脱帽である。Forgotten Loveにおいては彼はストリングアレンジに徹しベースを演奏していない。音楽を俯瞰する能力はここで完成されているといっても過言ではあるまい。テクニック的にも音楽的にも完成度が高く充実した時期である。

彼のキャリアの中で輝かしかったのはほんの数年間(残りの人生はドラッグとアルコール漬け。路上生活をしていた頃もあるようだ)なのだが、その輝き方がハンパ無いくらい輝いている。本作がリリースされたのは彼が25歳のころ。この10年後に彼は非業の死を遂げて帰らぬ人となる。人生に絶対量というものがあるのならば、彼は人生をものすごく太く短く使い果たしたといえようか。

Jaco Pastorius

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カラーズ オーネット・コールマン&ヨアヒム・キューン ~自由な発想の音楽、そこにあるのは音の極楽。

カラーズ
オーネット・コールマン&ヨアヒム・キューン


自分のバンドに極力ピアノを入れないようにしているフリー・ジャズの革命児オーネット・コールマン。そんなピアノ嫌いの彼が望んで共演をしたのがドイツ人ピアニストのヨアヒム・キューンである。本作はこの二人が差しで勝負したライブアルバムだ。

オーネット自ら作曲した楽曲を破壊してスリリングなやり取りが始まったかと思うと、次の瞬間には甘露のごとく甘いメロディーが再構築される。自由人オーネットは気の向くままに美を追求する。

それに対するヨアヒムはひらめきを瞬く間に音にしてしまう反射神経の高さが武器である。その類まれなレスポンスの速さで移ろいゆくオーネットのソロへ臨機応変に色彩感を添えてゆく。それはあくまでもメロディーに対するバッキングというカタチではなく、突然ヒュツと光が差し込んだ場所へ一瞬で色をのせてゆくイメージである。

オーネットが前になったりヨアヒムが前になったりと抜きつぬかれつ追いつ追われつ、そこには習作的なものは何もなく二つの個性が美的なものにむかってまっしぐらに進んでゆく様は、センスの塊としか言いようの無い瞬間である。真っ白なキャンバスに原色の絵の具が二人の手によってサッと塗られ、色彩豊かな絵画が描かれてゆく感じだ。

フリージャズと聞くとギスギスした重苦しさというキーワードが頭に浮かんでしまう人も多いと思う。しかし本作に収められているのは透明で極彩色の美しいモザイクが散りばめられた空間だ。緊張感タップリであるこの二人の間に無責任な音は存在しないのである。フリージャズに対する誤解が解ける瞬間を体現できる1枚でもある。

カラーズ

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Mingus Plays Piano チャーリー・ミンガス ~まるでドキュメンタリーを見ているかのような作品

Mingus Plays Piano
チャーリー・ミンガス


タイトルどおりチャーリー・ミンガスがピアノを弾いている作品だ。普段弾いているベースは一休みして、大きな巨体をピアノの前に鎮座させて一人で弾いているのである。ここではミンガスのピアノの腕前がどうこうという議論は全く無意味である。

ピアノは伴奏、メロディー、バッキングといったことが一度にできる。普段のベースでは出来ない方法をもって楽曲をいろんなアプローチで表現できるのでミンガスはとても楽しそうである。初めはたどたどしく弾いているのだが弾いてゆくうちにどんどんアイデアが出てきて新しい音がドンドン出てくるのがその証拠である。

時にはエレガントに、時にはブルージーに、時には意気揚々として、時には悲しみと怒りをこめて…。ソフトな打鍵でやわらかい音、感情をこめた強い音、それぞれの音色と音程を探るようそのときに心へ浮かんだ音を次々と表現する。そこには彼が楽曲にこめた様々な喜怒哀楽といった感情が現れているとともに音楽がつむぎだされる一種の生々しさがあり、まるで彼のドキュメンタリーを見ているかのようである。美的センスに優れており感情の起伏が激しかったといわれる彼らしい個性が現れた名盤である。


プレイズ・ピアノ

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The Bridge ソニー・ロリンズ ~人生の転換期につくられた名盤

The Bridge
ソニー・ロリンズ


オーネット・コールマンによるフリージャズの提唱はオーネット本人が思っているよりもジャズ界に衝撃を与えたのである。ソニー・ロリンズも衝撃を受けた一人だった。当時スターダムに上り詰めたソニー・ロリンズは地位も名誉も金銭も手に入れて順風漫歩よろしくといった感じで何も困ることは無かったのだがオーネットの音楽を聴いて「これはいかん!」と思ったのだろう。

ヨガや禅などで心を鍛えなおし心機一転、何もかも捨てて自分の音楽を見つめなおすため、またもや雲隠れを決行(ロリンズは過去にも失踪したことがある。)。毎日橋の下にて自らの演奏技術に研鑽を加えるべく練習に励んだという。その期間は約2年、「あの人は今」状態が続いたという。ようやく世間にひょっこり顔を出したときに作成されたのが本作である。

本作でのサウンドの大きな特徴はピアノを廃しギターを導入したところである。ギターはピアノと同様に和音を出すことが出来る。しかしピアノと和音とギターの和音では大きく異なるところがある。ピアノだとオクターブ内に音が密集してしまうのだが ギターの出す和音は楽器の構造上「音が密集しない」オープンハーモニーなのである。

しかもそのギタリストはジム・ホール。ジム・ホールは厳選された必要最小限の音数でメロディアスなバッキングによってハーモニーを構築する。程よいスキマがある彼のギターのハーモニーはロリンズの求めるところだったのだろう。これによってハーモニーからの縛りを軽くし自由を手に入れたものだと思われる。

人生の転換期となった本作はロリンズの危機感から生まれた名盤である。もしこの危機感が無かったならばロリンズはオーネットのモノマネをし、いつかはシーンから消えていたのかもしれない。

Bridge

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セヴラック作品集(L'Oeuvre Pour Piano) ピアノ:チッコリーニ(Ciccolini) ~王道のクラシックピアノからちょっとそれた感じが美しい。

セヴラック作品集(L'Oeuvre Pour Piano)
ピアノ:チッコリーニ(Ciccolini)


サティ曲目演奏者の第一人者アルド・チッコリーニの名盤。以前は入手が困難だったのだが現在はAmazonを経由して気軽に手に入る。本作は自分がクラシックを聴くきっかけとなったセヴラックである。セヴラックの詳細に関しては以前採り上げた舘野泉氏の記事を参考にしていただきたい(あまり詳しく書かれていないのだが…)。

偶然つけたカーラジオで流れていたのが本作との出会いだった。ショパンの難曲などを「体育会系」のクラシックピアノと表現するならば、どちらかといえば「文化系」の作風である。この王道からそれた直感的なハーモニーの感じがジャズに慣れ親しんだ自分の耳を捉えて離さず「クラシックにもこんな音楽もあるのだ!」と目が丸くなった覚えがある。ジャズとクラシックの橋渡しとなった作品なのだ。

あのドビュッシーをして「良いにおいのする音楽」と言わしめた色彩感豊かなセヴラックの楽曲をキラキラとカラフルに演奏する。やわらかい木の音がするピアノの響きと打鍵の鋭さから生まれる素早い音の立ち上がりが、ちょうどジャケットに描かれた油彩のイメージと一致する。

小さな音であっても決して曇ることの無いタッチ、フォルテッシモであっても金属的になりすぎない楽器のコントロール力、フランスらしい和声の響きを個性たっぷりなカラリとした音色で十分に引き出すエモーショナル且つ知的な楽曲の解釈と演奏設計。どれをとっても名演奏であり名高い1枚である。さらに3枚組みでこの価格なので「お買い得感」も十分だ。

昨年(2012年)来日するとなり非常に気になったことがある。ちょっとした都合でゆくことを見送ったのだがチッコリーニが1925年(大正14年!)生まれということを考えると少し複雑な気分にならざるを得ない。


L'Oeuvre Pour Piano - Ciccolini

■ひまわりの海~セヴラック:ピアノ作品集
もちろん舘野泉が演奏するセヴラックも超一流である。舘野氏特有の打鍵の深さの粒がそろった端正なタッチからは別の風景が浮かぶ。眼前にひまわり畑が一面に広がるのだ。

ひまわりの海~セヴラック:ピアノ作品集

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Cannonball's Bossa Nova キャノンボール・アダレイ ~キャノンボール・アダレイ根強い人気盤

Cannonball's Bossa Nova
キャノンボール・アダレイ


あそこの国がミサイルを配備した、ならばそちらの国が迎撃の準備をした…。なんだか朝鮮半島の情勢をめぐって緊張感が高まっている。色んな人が色んなところで色んなことをしている。だからいろんな立場の正義がうまれてくるのも当然のことで、対立や争いが生じてしまうのもやむをえない。できれば穏便に済ませていただきたいと願うのは日本人の甘えだろうか。

本作はキャノンボール・アダレイの作品の中ではいまいち知名度が低いのだが根強く人気のある1枚。本作が収録されたのは1962年、ちょうど第三次世界大戦が巻き起こる直前まで深刻な事態が発展したといわれる「キューバ危機」の直後であった。

そのころの1960年代アメリカは中南米を「アメリカの中庭」と表現し政治的に介入しはじめたころである。当時ソ連としては社会主義国家仲間であるキューバへちょっかいをだされそうで面白くなかったのだろう。アメリカを牽制する意味でソ連が核ミサイルをキューバへ配備したということから「キューバ危機」は始まる。

両者ともにらみ合いながら核戦争の開始ボタンへ手をかけたという。当時は全世界が驚愕し手に汗を握って成り行きを見守っていたが、ソ連側がキューバから手を引いたのでなんとか事なきを得る。一つ間違えば全世界が核の炎に包まれていたという。

アメリカの介入は政治を離れたところでサブカルチャーとしてボサノバ・ブームに火をともした。スタン・ゲッツをはじめ多くのミュージシャンの交流もさかんに行われた。アメリカの介入は世界を緊張に陥れることもあったがこういった文化的交流を生み出すことになったのも事実である。

本作収録に当たってキャノンボールはセルジオ・メンデス(P)をはじめブラジル人ミュージシャンを起用。十分なリハーサル時間も無かったのだが、そこはやっぱりプロ集団である。その証拠としてキャノンボール・アダレイが太くきらびやかにボサノバのメロディーを歌い上げている。

Cannonball's Bossa Nova

■ゲッツ/ジルベルト
歴史的大名盤の「ゲッツ/ジルベルト」もまたこの時期に収録された。

ゲッツ/ジルベルト

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BELLS 吉田美奈子 ~世界でたった3000枚の「幻の名盤」

BELLS
吉田美奈子


本作はポップシンガーである吉田美奈子氏の「幻の名盤」といわれている。中森明菜へ楽曲提供して入ってきた印税を元手に、完全なる趣味の世界としてたった3000枚しか作成されなかったからだ。3000枚のうち2500枚は通販で、残りは彼女の近しい人たちにへプレゼントというカタチで一般流通にはのらなかったというか、のせるつもりが完全になかったという。

本作について彼女が数々のインタビューなどで言うとおり、これには長すぎたり短すぎたりと商品としてパッケージ化しにくいためアルバム収録が見送られた楽曲が数多く収録されている。それはあくまでもラジオでのオンエアーなどで時間制限がある業界視点からの話であって、多くの業界人からは「もったいないアルバム」とされていた。

その内容のすばらしさは一聴すれは明らかだ。彼女はアレサ・フランクリンに衝撃を受けて歌い始めたという。本作では彼女がもっともリスペクトをしてやまないゴスペル・ミュージックの影響が強く出た作品で、力強いグルーブとコーラスワークが生命への賛美をのびのびと歌い上げている。
サポートメンバーもすばらしい。この的確でタイトなグルーブのベースラインは岡沢章であろうか。参加ミュージシャンも予算やスケジュールに縛られることがなかったのだろう。

16年のときを経てコピーコントロールCDで再発されたものの、ちょっと入手のハードルが高い作品だ。


BELLS-Special Edition (CCCD)

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Back to the World カーティス・メイフィールド ~誰もが納得カーティス・メイフィールドの最高傑作!

Back to the World
カーティス・メイフィールド


本作はカーティス・メイフィールドの最高傑作と呼ばれている1枚だ。普段はJポップしか聞かない人たち(もちろんカーティス・メイフィールドを知らない)にこれを聴かせると大抵みなさんは「ちびってしまうほどカッコイイ!」と口々に興奮するのである。そう、本作はわんわんわんの「隠し刀」ここぞというときの秘蔵の1枚なのである。

時代はベトナム戦争末期、当時の若者の間にベトナム戦争を通じて別の価値観が生まれてきた。サイケデリックなヒッピー文化などがその最もたるものであるが、「平和への回帰」を強く願う若者も多くいた。音楽も恋や愛などを歌う内容のものから徐々に政治的なメッセージがこめられたものがそういった若者たちの共感を誘った。マービン・ゲイの名作「What's Going On」などもこの時代である。

細いようで芯のあるファルセットボイス(ミドルボイス、ミックスボイスという表現のほうが的を得ているのだろうか)が妙に切なく「なにかを願う」かのように響く。そして重厚なストリングス・アレンジメントとトロンボーン中心で重心の低いブラスセクションがサウンドをゴージャスにし、パリッとしたタイトなリズムセクションがポップさに色を添える。

ジャケット良し!捨て曲なし!誰もが「ちびってしまうほどカッコイイ!」と思えるほどの名作だ。

Back to the World

■What's Going on
本作も捨て曲なし!名作すぎるのでいずれは別の機会で採り上げねばならぬ。
ジェームス・ジェマーソンのベースプレイは相変わらず天才的といわざるを得ない。特に2曲目の展開の仕方には舌を巻く。秘密は開放弦を効果的に取り入れたウッドベース式の運指なのだろう。
余談なのだが1曲目のざわざわした話し声のなかに誰かが日本語で「山口!」と叫んでいるのだが、これはわんわんわんの空耳なのだろうか。

What's Going on

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TRISPACE TRISPACE ~名古屋ジャズ期待の若手ピアニスト。

TRISPACE
TRISPACE


名古屋在住のジャズピアニスト林祐市氏。本作は彼の率いるグループTRISPACEのデビューアルバムである。彼は名古屋若手ミュージシャンの中でも音色の美しさとハーモニーの美的センスは一つ頭を抜けている存在だ。

本人いわく相当のキース・ジャレットのファンだそうだ。相当なファンということはキースの二番煎じに陥ってしまいがちなである。しかしメロディーの端々にキースの影を漂わせる「美メロ」を伺えるのだが、ハーモニーは完全にキースをなぞっているのではなく林氏本人のカラーがしっかり出ている。ポップなメロディーでありながら少しスリリングで深みのあるハーモニーはもはや彼のスタイルの特徴の一つとなっている。

透明感のある雪国のようなサウンドからやはりCDの帯には「北欧直系の~」と書かれている。しかし突き進むようなスリリングな一面も持ち合わせており、「北欧直系の~」というキャッチコピーは彼の全てを語っているものではないとおもう。ひょっとするとこれは同じ雪国でも実は彼の在所がある秋田の幻影が混ざっているような気がする。それが彼の個性にも繋がっているのではないだろうか。

本作はデビューアルバムにしてすでに彼の個性が白い雪の結晶のようにキラキラと光る名作である。それにしてもこのTRISPACEというグループ名はイタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィのTRIOSCAPEに良く似ている。きっと林氏はエンリコ・ピエラヌンツィも好きなのだろう。

TRISPACE

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Kansas City 7 カウント・ベイシー ~ベイシーのつくる「小さなビッグサウンド」

Kansas City 7
カウント・ベイシー


なんだろう、イントロのポロンポロンというピアノで思わずカラダがピクリと動いてしまう。1曲目からベイシーサウンド全開である。いつものビッグバンド編成は総勢17名。しかし本作はカウント・ベイシーのスモールバンド。ベイシー(P)をはじめサド・ジョーンズ(Tp)などいつもより少ない7人編成のバンドだ。

ここでベイシーが取り組みたかったのは大人数ででビッグサウンドを目指すのではなく、小編成でも大きなサウンド(大きなサウンドというのは音量が大きいというわけではない)が出せることを取り組んだ作品なのだ。通常のビッグバンドのときと違いアレンジもフルートやミュートトランペット(2曲目のサド・ジョーンズによるワウワウとしたトランペットがこれまた泣かす。)など比較的柔らかい音色で構成されている。

サックスなどのソリも小さな音でユニゾンを重ねおり、小さい編成でありながらも音の凄みはビッグバンドと遜色は無い。ちょっとしたフレーズのアクセント(まさにベイシーのポロンポロンピアノそのもの)がとても歌として活きている。

ギターのフレディー・グリーンもあいかわらずツンツンと心地よいビートを刻むのだが本作はタッチが柔らかい。スモールバンドということで鳴らす弦の本数をビッグバンドのときよりも減らしているからなのだろう。ベースも意識してあまりギターの音域とかぶらないようにしている。普段はスティック投げ芸といった大技を披露するソニーペインもブラシュワークの名手ぶりを存分に発揮している。

すさまじい音域と音の厚みを存分に味わえるビッグバンド編成のベイシーも良いのだが、こうやって肩の力を抜きながら聴けるこじんまりとしたベイシーサウンドもまた良いものだ。まさにベイシーの目論見どおり「小さなビッグサウンド」だ。とても聞きやすくジャズ初心者にもオススメの1枚である。

曲目リスト
1. オー、レディ、ビー・グッド
2. シークレッツ
3. アイ・ウォント・ア・リトル・ガール
4. シュー・シャイン・ボーイ
5. カウンツ・プレイス
6. セナター・ホワイトヘッド
7. タリー・ホー、ミスター・ベイシー
8. ホワッチャ・トーキン?

カンザス・シティ・セヴン

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月の光 冨田勲 ~世界のTOMITAの始まりである歴史的大名盤

月の光
冨田勲


本作はちょっとコアな音楽ファンなら誰でもご存知のシンセサイザー奏者冨田勲氏のデビューアルバムにて歴史的名盤である。シンセサイザーにてドビュッシーの諸作を演奏するのであるが、冨田がここで目指したのはドビュッシーのピアノ曲を電子音で模倣しシミュレートしただけの「既存のフォーマットの模倣」ではない。

ブックレットにて冨田氏はこのようにシンセサイザーの本質を語る。
~シンセサイザーをさして「いったいこれはどんな音がするのか」という質問に対しては答えようがないが、「このバーベキュウセットはどんな味がするのか」ということと同じである。~

ご存知の通りシンセサイザーはありとあらゆる音色を合成することが出来る。このころの黎明期シンセサイザーは現在のサンプリング音源のように何かの音を模倣するため(スタジオミュージシャンの人件費削減のため)のものでなはく、まさしくゼロからの音色をマニピュレートしなければならなかった。

シンセサイザーを使うとうこと、それはつまりピアノ、バイオリン、などなどの名前を聞けばどんな音がするのかが容易に想像がつく楽器を組み合わせてオーケストレーションするのではない。シンセサイザーにはそういった音色の大前提というのは存在しないのである。絵画にたとえるならば赤だとか青だとか黄色などの既存の色をつかって絵を描くのではなく、色を調合するところから創作活動は始まるのである。

その作業はとても地道で根気を要する。配線をつなぎ合わせ音色のもととなる音を合成する。それができたら音の立ち上がりのスピードをつまみを回しながら調節し…楽曲にあうような音色の調合だけでも大変なのだが一つの音色が出来上がれば多重録音が可能なマルチトラックレコーダーにてテイクを重ねる。冨田はこの気の遠くなるような作業を繰り返す。もちろんどのように演奏したらよいかという演奏設計も「未知の音色」をつかって手探りにて組み立てる。

シンセサイザーという道具から生まれるサウンドは「聴いたことがあるけれど聴いたことがない」、しかも演奏しているのが冨田氏なので「人間らしくないのだが妙に人間くさい」という不思議な矛盾につつまれている。そして出来上がったものが本作ドビュッシーを題材とした素敵な音のコラージュである。

これまでの音楽は演奏活動によって再現できることを前提につくられたものなのだが、本作をリアルタイムで演奏を再現しようというのはほぼ不可能である。冨田氏はヒョイッと出てきたシンセサイザーによって音楽そのものを再定義しようとしていたのではないのだろうか。

月の光

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未知なる世界へ飛び立とう 穴澤雄介 ~同じ空間にいるだけで生きる勇気を分けてもらえる人物

未知なる世界へ飛び立とう
穴澤雄介


本日は2013.3.11.今日をもってあの東日本大震災から丸っと2年がすぎた。「まだ」2年なのか「もう」2年なのか、未だに自分のなかで整理がつかないまま白紙の状態で時は自分の人生に積み重なってゆく。

本作で紹介する穴澤雄介氏は幼くして光を失った盲目のバイオリニストである。直接被害はなかったものの彼もまた東日本大震災にて深く心が沈んでしまった一人である。しばらく沈み込んだ後に立ち上がり「自分なりの社会貢献」にて落ち込んだ多くの人々の心を、ということで今でも各地にてチャリティーコンサートを精力的に行っている。

本作はNHKラジオ番組「ともに生きる」2009年度テーマ曲『楽登王国へようこそ』も収録されている。くすんだ音、輝く音、その音色から心の奥で調べられる音色、自分の表現したい全てを音色にて表現しきってしまう圧倒的な技術、幅広い音楽性、イマジネーション豊かな数々の楽曲。そしてとてもユニークで温かい人柄がにじみ出るトーク。『楽登王国へようこそ』の生まれたエピソードを直接本人に聞いていただきたい。彼が盲目であるということを忘れるくらいカラフルで奥深いエピソードが聞けること請け合いである。

一度彼に直接お会いしたことがあるのだが本当にポジティブな方で、同じ空間にいるだけで生きる勇気を分けてもらえるような気がした。自ら抱えるハンディーキャップと向き合う力。初めは抱えている障害のことで相当悩み苦しんだとということだが、「自分にしか出来ないこと、自分の進むべき道」を見出し、障害をものともしない精神の強さを身につけたという。

「ボクは電車のホームからよく落っこちる」とユーモアたっぷりで軽妙な口調で自分の目が見えないこと彼はを語る。目が見えないこととは彼にとってはひょっとしたら「チャックが開いたまま町を歩いてしまった」程度のことかもしれない。やはり何かを乗り越えた人というのはものすごく強い。機会があるならば是非直接彼に会いにいっていただきたいと思う。

未知なる世界へ飛び立とう

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Somewhere in The Night ボビー・ハッチャーソン ~ビブラフォンの巨匠の傑作ライブ

Somewhere in The Night
ボビー・ハッチャーソン


かつてはブルーノートレーベルにてハービー・ハンコック(P)やウエイン・ショーター(Ts,Ss)やアンドリュー・ヒル(P)などと「新主流派」と呼ばれるくくりでモーダルなジャズを展開してきたボビー・ハッチャーソンことボビハチである。そんなボビハチも齢を重ね70歳を超えたという。本作はジョーイデ・フランセスコ(Org)のオルガントリオをバックにした2009年に行われたライブ録音の集大成である。

オルガンとビブラフォンの相性が思いのほかよい。ギター:オルガンの親和性とギター:ビブラフォンの親和性を考えれば確かにその通りである。ボビハチの名曲「Little B's Poem」が聴けるのもうれしい。そして超アップテンポチューンであるエリントン作曲の「Take the Coltrane」にてジョーイデ・フランセスコのB3ハモンドが容赦なく炸裂して観客を興奮の極地へ導く。ギターのピーター・バーンスタインもそれに追随しボビハチへ順番が回ってくると拍手喝采。本当にこの人は70歳を超えているのだろうかと思えるほどの輝き。バイロン・ランドハムのドラムも爆発する。
バラードにてのボビハチのビブラフォンは良く歌う。ややゆっくり目に設定されたビブラートがゆらゆらと音を揺らし、モーダルなビブラフォンの世界に聴くものを誘う。これがまた何と美しいことよ。

それにしてもジョーイデ・フランセスコは見るたびにカラダが巨大化している。ジャケットの写真を見るとちょっと心配になってくるレベルだ。


曲目リスト
1. Teddy
2. Little B's Poem
3. Skj
4. Take the Coltrane
5. Wise One
6. Somewhere in the Night
7. My Foolish Heart
8. S'Wonderful

Somewhere in The Night [輸入盤]

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Life on Planet Groove メイシオ・パーカー ~一生付き合えるファンクの大名盤

Life on Planet Groove
メイシオ・パーカー

ファンクの神様ジェームス・ブラウンのサウンドを支える中心人物、それがメイシオ・パーカー(As)。ジェームス・ブラウンのテンションが上がってくると「メイシオ!ブロウ・ユア・ホーン!」と御大からしばしば声がかかる。自らのスタイルを「2%のジャズと98%のファンキー・スタッフ」と宣言。彼のサウンドはファンクそのもので本作を聴いてでカラダがピクリともしなかったら、それはどうにかしている証拠である。

1曲目のラリー・ゴールディングスによるオルガンのベースラインから腰が砕けるファンキーさが爆発する。途中のドラムソロではケンウッド・デナードのグルーブセンスのよさと超絶技巧、そしてメイシオとの掛け合いが会場全体を絶叫の坩堝へ導く。2曲目の名曲「Pass the Peas」もノリノリという言葉が小さく思えるほどノリノリだ。ファンクトロンボーンの第一人者フレッド・ウエスリーも上品でキレのよいダンスを見るような心地よさだ。

途中でメイシオが歌う「Geogia On My Mind」がキュッと切ない。レイ・チャールズにも迫るこのせつなさは、まさにファンク&ブルー!ピーウィー・エリス(Ts,Fl)がコレマタ切ない。最終曲のSoul Powerで客席へファンクの直球がズドンと届くと大きな歓声がわきおこる。会場との一体感、これぞライブアルバムの真骨頂である。

曲目リスト
1. Shake Everything You've Got
2. Pass The Peas
3. I Got You (I Feel Good)
4. Got To Get U
5. Addictive Love
6. Children's World
7. Georgia On My Mind
8. Soul Power

Life on Planet Groove

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メル・トーメ・スウイングズ・シューバート・アレイ メル・トーメ ~流麗なトーメのヴェルヴェットボイス

メル・トーメ・スウイングズ・シューバート・アレイ
メル・トーメ


ジャズボーカルの名盤を紐解けば必ず出会う1枚。素人である自分が口にするのも変な話なのだが彼はものすごく歌が上手い。そんじょそこらの上手さとは明らかに格が違う上手さだ。まずは1曲目のToo Close ~の第一声で衝撃をうける。これだけで彼の声は「極上のヴェルヴェット・ヴォイス」と評されるのは全く大げさではないことが解っていただけるだろう。

しっかりとした低音成分と息の量に支えられた「極上のヴェルヴェット・ヴォイス」、ソリッドなリズム感としゃれたスイング感、完璧なピッチの取り方とダイナミクスコントロール、エンターテイメント性タップリの流麗でスリリングなスキャットワークは同業者も悔しがるほどである。

サポートするメンバーもアート・ペッパー(As)メル・ルイス(Dr)マーティー・ぺイチ(P)という豪華アーティストの布陣。要所で挟み込まれたペッパーがすばらしすぎる。本作はペッパーの名演奏が収められた作品としても名高いため1枚で2度美味しいのである。メル・ルイスのシンバルレガートの崩し方とピシャッとバンドをリードするアンサンブルワークはさすがだ。マーティー・ぺイチのアレンジもフレンチホルンやチューバなどを効果的に取り入れているため、いわゆるビッグバンドものとは一味違った洗練さがサウンドにある。

ちなみに、マーティ・ペイチの息子さんは、大ヒット曲「アフリカ」で知られるロックバンドTOTOの中心メンバーであるキーボーディストのデヴィッド・ペイチである。名盤請負人の血は受け継がれるものである。

曲目リスト
1. トゥー・クロース・フォー・カムフォート
2. ワンス・イン・ラヴ・ウィズ・エイミー
3. ア・スリーピン・ビー
4. 君住む街角
5. オール・アイ・ニード・イズ・ア・ガール
6. ジャスト・イン・タイム
7. ハロー,ヤング・ラヴァーズ
8. 飾りのついた四輪馬車
9. オールド・デヴィル・ムーン
10. ホワットエヴァー・ローラ・ウォンツ
11. トゥー・ダーン・ホット
12. ロンリー・タウン

メル・トーメ・スウイングズ・シューバート・アレイ

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ラヴェル:ピアノ作品全集 アース ~ラヴェルピアノ作品集の入門盤にして名盤

ラヴェル:ピアノ作品全集
アース


ラヴェルピアノ作品集の中では一番普及率が高いのは本作ではなかろうか。非常に入手しやすい1枚である。アースことモニク・アース(1909-1987)はフランスの女性ピアニストで、彼女はやや音が丸く結構ペダルを多用しているのが特徴である。

本作のほかにはドビュッシーピアノ作品集をのこしている。しかしドビュッシー作品集のほうは個人的にいまいちピンと来るものがなく眠たくなってしまうのである。収録曲の多さや名曲がそろっているにもかかわらずがっかりした覚えがある。ドビュッシーの楽曲は思いのほか静かに鋭い立ち上がりの音が良く似合うため、彼女の持ち味である「丸い音」が作品に似合わなかったのだろう。

だが本作は「鏡」における「道化師の朝」や「洋上の小舟」、そして「水の戯れ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」など、彼女の持ち味である丸い音が良い方向で作用しており、ちょっと大き目の水玉がはじけるイメージに繋がっている。本作はラヴェルの主要な作品が収められており非常にお得感の強い1枚だ。そういった意味でも初めてラヴェルに手を出すのにちょうど良い「入門盤」である。

曲目リスト
 ディスク:1
1. 鏡
2. 水の戯れ
3. 亡き王女のためのパヴァーヌ
4. 古風なメヌエット
5. 前奏曲
6. シャブリエ風に
7. ボロディン風に
8. ハイドンの名によるメヌエット
9. マ・メール・ロワ

 ディスク:2
1. クープランの墓
2. 夜のガスパール
3. ソナチネ
4. 高雅にして感傷的なワルツ

ラヴェル:ピアノ作品全集

■月の光~ドビュッシー / ピアノ名曲集
こちらは個人的に「迷盤」扱いとなっている。でもこれが好きな人が多数いることも事実である。

月の光 ~ドビュッシー / ピアノ名曲集

■Complete Works for Solo Piano
ラヴェルピアノ作品集ではやはりこれが1つ2つ抜きん出ており「最高峰」である。何十回何百回聴いても飽きることが無い大名盤だ。市場から消える前に是非ゲットされたし。

Complete Works for Solo Piano

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Eyewitness スティーヴ・カーン ~10年越しで手に入れた超レア名盤

Eyewitness
スティーヴ・カーン


本作を血眼になって探している諸兄が非常に多い1枚だ。かく言うわんわんわんも約10年ほどかけて探し続けてであった代物である。スティーブ・カーン(Gt),アンソニー・ジャクソン(B),スティーブ・ジョーダン(Dr)のトリオによる名盤だ。

スティーブ・カーン特有の緊張感があるハーモニーとメロディー、そして非常にニュートラルでソリッドなアンソニー・ジャクソンのエレキベース、そして特筆すべきは今でこそグルーブ一本槍のスティーブ・ジョーダンがこれまたテクニカルなドラミングを披露しているのだが、決して超絶技巧をひけらかしているのではない。左足のHHとシンバルレガートの絶妙なバランスでのフォーウェイコーディネーションによるフレーズ作りなどといった超絶テクを超絶テクと感じさせないようなレベルのさりげない超絶テクである。フランジャーをかけたアンソニー・ジャクソンのベースも本作の世界観にマッチしておりかっこいい。

時代の流れからふるい落とされて潜ってしまったにしても、なぜこのような名盤を気軽に手に入れることが出来なくなったのだろう。全く残念である。

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