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ローラン・ディアンス「ヌアージュ」 ~久しぶりの戦慄を覚えた一枚


お久しぶりです。だいぶ経ちましたがお世話させていただいているマーチングバンドの全国大会が終了しました。子どもたちも遠征は初めてで全く知らないところで演奏することはさぞかし緊張したかもしれません。しかし「楽しかった」という声もちらほら聞こえたので、練習の成果が発揮でき結果につながったのではないのかなと思いました。

しかしまあ、いろいろなジャンルの音楽に手を出していると、だんだん感動に対する耐性がついてくる。音楽を教える立場でもあるので、ことさら冷静に分析しながら聴いてしまう癖がついていることもあるのだろう。だがしかし、先日気まぐれでたまたま合わせたラジオから流れるクラシックギターの音に心を奪われたのである。ローラン・ディアンスとの出会いである。その音色、表現力、テクニックすべての点でラジオから流れてくるその音へ久しぶりに戦慄が走ったと言っても過言ではないのだ。とにかく「神ってる」のだ。

早速ローラン・ディアンスとはどんな人なのかを調べてみると、

「ローラン・ディアンスは、フランスのクラシックギター奏者、作曲家、編曲家。 チュニジア出身。クラシックギターをアルベルト・ポンセに、作曲をデジレ・ドンディーヌに師事。いくつかの作曲やギターのコンクールで入賞した。 演奏者として即興演奏の能力で知られている。」

とのこと。彼についていろいろ調べてれば調べるほど同業者であるギタリストから寄せられる賛辞が多いことに気が付く。それもそのはず一度再生ボタンを押せばもう止まらないのである。

数ある彼の作品の中でも特に内容が濃い一枚が本作「ヌアージュ」である。ヴィラ・ロボスの名曲「ブラジル風バッハ 第5番 アリア」であろうとも、セロニアス・モンクの「ラウンド ミッドナイト」であろうとも、ジョビンやサティー、はたまた演奏中にチューニングペグを回してしまうような(ネックベンドかも?)実験的な自作の楽曲まで自在に弾きこなす。

丸い音、尖った音、優しい音などギターで出せる音は全て使うといってもよいくらいの多彩な音色と丁寧で多彩なテクニックだ。彼の手元から繰り出される玉手箱のような音は全く嫌味な感じではなくすべてが意味をもって演奏されている。

しばしばギタリストは「器用さを求められる楽器」なので特にその傾向がつよく「上手いだけ」「速いだけ」に陥りがちである。しかしディアンスは多種多様なジャンルを卓越した感性で自分の音楽として表現し、様々な超絶テクニックはすべては音楽のためという彼のスタンスをガッツリ思い知らされる1枚である。

しかし悲しいかな、彼の作品と出会うのは今では「かなりレア」な事となってしまっている。今一度この素晴らしいギタリストの作品群の再発を強くここで訴えたい。




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トッカータとフーガ PJBE ライヴ・イン・ジャパン PJBE ~これは名盤、まさかの鳥肌まさかの涙腺…

トッカータとフーガ PJBE ライヴ・イン・ジャパン
PJBE

最近は小学校のマーチングバンドにて休日パーカッション講師をしているのだが、近隣の中学校でも教えるようになった。まさか自分のなかでの「道楽」の部分が社会貢献につながってゆくとは思いもせずびっくりしているのだが、どうせやるなら子供たちに譜面の読み方、スティックの動かし方、マレットの動かし方、楽器間の移動、無理のない体の使い方、自分の音と他人の音の聴き方など、ゆくゆくその子供たちの人生を豊かにする「最高の宝物」を手にしてもらいたいと一生懸命頑張って教えている。流行っているうちが華、「打面よ、打面打面~」というギャグも通じるうちに使わせてもらっている。むろん箸が転んでも笑い転げる小中学生は大爆笑である。

教える側である自分も研鑽を積まねばと思い、10数年使ってきた打楽器の練習台を新調しルーディメンツのおさらいを暇さえあればしているのだが、これが翌日・翌々日の筋肉痛として跳ね返ってくるので自分も若くはないのかなとひっそり思う今日この頃。

それはさておき、以前本ブログにて取り上げた「ジャスト・ブラス PJBE」のブラスアンサンブルの先駆けにして究極形であるフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル(以下PJBE)。本作は彼らの作品でひときわ珍しいライブ録音ものである。しかもライブ・イン・ジャパンとのことで、日本にて行われているレアな音源だ。内容はもちろん絶賛もので、テクニック、音楽性、ユーモアすべてをてんこ盛りにした豪華な仕上がり。観客の反応もよく、演奏者よし、会場よし、観客よしの「3よしアルバム」なのである。

金管楽器は吹く強さによって音色がものすごく変化するので、1本の楽器で様々な音色が演出できる。フレーズのキャラクターは各プレイヤーのさじ加減ひとつで様々に変化しうるのが特徴だ。PJBEは各個人の技量や音楽性も非常に高く、複数人のビブラートの周期とピッチがぴったりそろう部分は鳥肌もの。なぜテンポルバートでそんなにそろうのだと、長2度のインターバルを含む複雑なハーモニーでそんなにかっちりと決まるのか、なんでそんなにタンギングが早いのか、言い出せばきりがない。もうこれは劇場仕込のベテラン俳優のような音楽集団だ。

曲目はタイトル曲(いわゆる「鼻から牛乳」)にもあるようにバッハの楽曲が圧巻。どちらかというと「頭で聴く」要素の多いバッハの楽曲でまさか鳥肌がたったり涙腺がゆるんだりするとは思いもよらず、久しぶりに音楽で自分の動きが止まって聞き入った傑作である。アンコールの演目であるジャズスタンダードのスター・ダストも心の琴線を確実にとらえる仕上がり。捉え方は人さまざまで、もちろん酒を飲みながら気楽に楽しむもよし、モニタースピーカーで研究材料として緻密に覗き込むように聴いて感服するのもよし、素材というか音源というか内容が良いだけに楽しみ方も満載である。

トッカータとフーガ/PJBE ライヴ・イン・ジャパン

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ジャスト・ブラス PJBE ~金管アンサンブルの素晴らしい名盤

ジャスト・ブラス
フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル


最近は金管アンサンブルに凝っている。しかし悲しいことに「金管アンサンブルもの」はCDショップのクラシック売り場の中でも少数派の扱いだ。クラシック売り場のうちの棚1~2本が吹奏楽関連。吹奏楽関連の大半はコンクール曲集。さらに続いて楽器別のアルバム。金管アンサンブルものが売り場として割り当てられているのはわずか10〜20cmくらい。売り上げに基づいて棚構成が決まると考えれば、なにかと金管アンサンブルものはクラシックの中でも肩身の狭い存在である。

本作は正直に言うと「ジャケ買い」の1枚だった。並べられた楽器を取り囲むように7人のメンバーが並ぶ。服装の感じからはおそらく1970年あたりのもの。ジャケットの感じからなんとなく「アタリ」の予感がしたのである。直感を信じてレジへ向かう。このように「直感を信じて」作品に出合えるというのは、ネットで何でも買える時代とはいえ実店舗をぶらぶらするメリットなのである。

ゆくゆく調べてみると「ブラスアンサンブルの金字塔」だとか「決定版」だとか「必携のディスク」だとかいろいろ書き連ねてある。ちょっとほめすぎなのではと思いつつも実際に聴いてみると、楽曲のよさや演奏者のレベルの高さに驚かされる。これらの評価は決して過大評価ではなく正当な評価なのだと気が付く。

楽器には「固定音楽器」と「作音楽器」という種類分けがある。ピアノは「ネコが乗っても音が出る」とも言われ固定音楽器の代表格だ。それに対し管楽器は誰が吹いても正しい音がでるわけでもなく、「出そうと思っている音程・ピッチ・音色を狙いにゆく」楽器なのである。人の歌声と似たようなところがある。

フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのすごいところは、この作音状況(変な言い回しなのだが)が素晴らしくピッチの取り方をとっても完璧である。たとえば完全5度ハーモニーはルート音(根音)に対し、やや上ずりめのピッチで音を重ねると響きがかっちりと決まるのだが、まるで一人の人間がピッチをコントロールしているかのように、どんなハーモニーも美しく響く。各個人の技量は言うまでもなくアンサンブルとして譜面の向こう側を読み取り、それを適切に再現するテクニックと耳の良さは非常に勉強になるとともに楽しんで聴ける。

エヴァルドの五重奏が入っているのも高ポイントの一つでもある。長きにわたって自分の愛聴盤になる1枚に出合えてうれしいのだが、市場原理の冷酷さにがっかりする1枚だ。


ジャスト・ブラス
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■アルメニアン・ダンス全曲 フェネル ~日本最高レベルの吹奏楽団が本気を出した名盤

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オブリガード・ブラジル ヨーヨー・マ ~本気で音楽を楽しむ姿が最高に楽しい1枚

オブリガード・ブラジル
ヨーヨー・マ


世界を股に掛け「音楽の幸せ」そのものを追求するスーパーチェリスト、ヨーヨー・マ。そのレパートリーは古典音楽から現代音楽~ポップスまで幅広いので、ジャンルを問わず非常に多くのミュージシャンとコラボレーションをしている。本作はヨーヨー・マがかつてより構想を練り上げていたブラジル音楽を収録したもの。ブラジルを代表するクラシックの作曲家ヴィラ・ロボスからボサノバ、サンバ、ショーロなどのブラジリアンポップスまで、選曲は幅広く彼らしい視点である。

ブラジルの至宝エグベルト・ジスモンチやパキート・デリベラなどをはじめブラジルや中南米トップクラスのミュージシャンをゲストに、本気で音楽を楽しんでいるヨーヨー・マが改めて音楽の楽しさを教えてくれる。高度な信頼関係に基づくジャンルを超えたハイレベルなこのコラボレーションはきっと彼のグローバルでフレンドリーな人柄があってこそのものであろう。

続編として同じメンバーにて行われたコンサートの様子を収めたライブアルバムもある。こちらは可能であればDVDつきの初回盤を手に入れていただきたい。共演者同士のアイコンタクトやともに演奏を楽しむ様子を映像にて見ることができ、これほどまでの濃い内容が楽譜を超えた友人関係に基づく信頼関係によって成り立っていることが手に取るようにわかるからだ。

オブリガード・ブラジル

■ブラジル・ライヴ!
こちらが続編のライブアルバム。クラシックファンからブラジル音楽ファンまでオススメである。

ブラジル・ライヴ!

■オブリガード・ブラジル~ライヴ・イン・コンサート(初回生産限定盤)(DVD付)
こちらが初回盤のDVD付きだ。収録の様子を見ることができるので輪をかけて楽しい1枚だ。限定品なので流通品のみの在庫となるので注意が必要だ。

オブリガード・ブラジル~ライヴ・イン・コンサート(初回生産限定盤)(DVD付)

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鳥の歌~ギター小品集 山下和仁 ~選曲よし!歌心あふれる神業のギタリズム

鳥の歌~ギター小品集
山下和仁


山下和仁。わが国を代表するクラシックギター界の名手。その想像を絶する超絶技巧と音楽性は海外まで名をとどろかせている。有名なところでは以前記事で取り上げた「展覧会の絵&火の鳥」で、これはギター1本でオーケストラサウンドを極限まで再現した超絶技巧の塊のような作品であった。

本作は山下が1991年に録音した「小品集もの」。ちょうど山下が30歳の誕生日を迎えたころという。前出の「展覧会の絵&火の鳥」のような聴くものを圧倒するような楽曲もあるのだが、それはちょっとしたスパイス程度にとどめてある。

ギターではおなじみの禁じられた遊びやプーランクやシベリウスやルーセルなど近代作曲家の小品集など肩の力を抜いて楽しめる楽曲を収録したものだ。山下自身が長年温め続けてきた選曲だそうで、気軽に楽しめるものから同業者(ギタリスト)を驚かせるような楽曲までそのバリエーションは幅広い。個人的にはハーモニクスなどを駆使したボロディンの「中央アジアの草原にて」という選曲がツボだ。

山下の得意とするところの指板全体を駆け巡るような複雑きわまる超絶早弾きを余裕綽々で弾ききってしまう14曲目や19曲目はもちろんのことだが、さらに驚くべきところは音色のコントロール力。複数のメロディーが同時進行するような楽曲において、それぞれの声部にべつべつの人格や宿ったかの如く手元だけで音の遠近感をここまで表現できることである。それぞれのパートをまるで複数の人間にて弾きわけていると思ってしまうほど音に表情があふれているのである。

これほどまでにギターをギターとして意識させずにその世界に没頭させられてしまう演奏はまさに神業である。


鳥の歌~ギター小品集

■鳥の歌~ギター小品集
こちらが映像作品。山下の超絶技巧を目の当たりにしたいギタリストはぜひチェックされたし。

山下和仁ギター小品集/鳥の歌 [DVD]

■展覧会の絵&火の鳥
世界を仰天させた「ギター1本のみの一人オーケストラ」。鬼のような音色の弾きわけや超絶技巧が冴え渡る名盤。このすごさはギタリストでなくても固唾をのんで見守るほどだ。こちらの映像作品はないのだろうか。

展覧会の絵&火の鳥

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■北の詩情~シベリウス:珠玉のピアノ小品集 ピアノ:ビータサロ ~北欧の巨人シベリウスのなんとも可憐なピアノ小作品集
■展覧会の絵&火の鳥 ~この人にかかればギターは本物の「小さなオーケストラ」になる



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